『じゃない方の彼女』沼にハマる雅也 山下美月演じる天然魔性系女子大生・怜子が手ごわい

『じゃない方の彼女』怜子が手ごわい

「ただの偶然だと思ったんです。でも、そのうち運命だったらいいなって」

 『じゃない方の彼女』(テレビ東京系)第4話では、引き続き大学の准教授・雅也(濱田岳)がキャパオーバーな出来事に見舞われ続けている。天然魔性系女子大生・怜子(山下美月)からの不意打ちのキスに、話をつけようと意を決して連絡するも、彼女から即レスが来ればどうしたって顔が綻んでしまう。反射的に出てしまう反応ほど正直だ。

 同じ大学に講師として勤める先輩の片桐(山崎樹範)が“恋の病、こじらせてる”とお見通しの通り、食卓でも怜子のことを思い出し、避けよう避けようと意識しなければならぬほどに彼女の存在感がどんどん自分の中で無視できないものに膨らんでいき、怜子沼に溺れていく雅也。「もうこれっきりですから。あんなこと金輪際ありませんから!」と片桐にアリバイ工作や口裏合わせを頼むことはもうないと宣言して早々に、雅也はそれを破る。そして厄介なのは片桐が言い当てている通り、雅也は自身が彼女のことを意識しまくっていることに自分では気づいていない。認めてしまっては歯止めが効かなくなると考えているのかもしれないし、とにかく善悪だけで判断し自身の本音に蓋をしてしまうことに精一杯なのかもしれない。キスされればその真意を探りたくなるし、彼女の姿ばかり目で追ってしまい、彼女と一緒にいない時間にも頭の中は怜子のことで支配されている。

 怜子が寝込んでいるらしいと聞きつけ、遂に居ても立ってもいられなくなり自宅にお見舞いに向かう。もはや雅也にとって彼女が実質的には初恋の相手なのかもしれないと思わされるほどに、雅也は怜子を前にすると平常心を保てなくなり、彼自身が“初めての自分自身の感情”に出会い戸惑っているかのようだ。筆者も含め、きっとそろそろ視聴者の多くが気になり始めたであろう雅也と妻・麗(小西真奈美)の馴れ初めが、ちょうど次週に明かされるようで流石のタイミングで楽しみだ。

 また、本作で果たす片桐の役割の大きさにも改めて気づかされた。自身の気持ちの正体が何であるか把握できていない雅也に、痛いところを突いたり、彼なりのお作法や線引きを教えたりする。互いに割り切った関係を第一信条に掲げる片桐との対比で、雅也の危うさやどっちつかずで脇の甘さから出る残酷さや双方の女性をケアし切れていない無礼さが浮き彫りになる。そして、片桐との対比によって、雅也にとって怜子の存在が“数多くある内の1人”ではなく、だからこそどれだけ非常事態なのかも同時に強調される。

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