『ラジハII』原点に立ち返る第5話に 一泊二日で窪田正孝、本田翼らの四角関係に進捗?
ついこのあいだ再集結を果たしたばかりのラジエーションハウスの面々。ところが灰島院長(高嶋政宏)から小野寺(遠藤憲一)に対し、人件費削減のために早期退職者を1人出せとの命がくだる。11月1日に放送された『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系)第5話は、これまでのように検査を受けにやってくる患者を通して物語が運ばれていくのではなく、病院の経営課題を通して“ラジエーションハウスの売り”とは何かが見出されていくという、極めて内省的で根源的なエピソードであった。
1人も辞めさせたくない小野寺に対し、灰島はセレブ向けのプレミアムな人間ドック導入を指示。そこで小野寺は温泉付きのプレミアム人間ドックを行なっているクリニックの見学を提案する。小野寺と唯織(窪田正孝)と裕乃(広瀬アリス)、田中(八嶋智人)、そして杏(本田翼)が一泊二日で参加することになり、隅々まで行き届いたサービスに満足していた5人。しかし杏は見学させてもらった読影室に違和感を覚え、さらに唯織や裕乃は温泉で心筋梗塞を起こして倒れた患者の処置よりも検査の予約患者を優先させるクリニックの方針に疑問を抱くのである。
序盤の雰囲気こそ「一泊二日の温泉旅行」という、ある種の余暇エピソード的な空気感を漂わせながらも、あっという間にいつも通りのラジエーションハウスに戻ってくるあたりはこのドラマらしい。それでも唯織と杏の接近にやきもきする辻村(鈴木伸之)の姿や、杏がいるからと参加を決めた唯織に対して向けられる裕乃の視線。そして夜の宿内でばったり遭遇した杏の後ろ姿を見つめる唯織の眼球だけの動きと、しっかりとこのシーズン2において重要さが増しつつある四角関係の進捗も追いかけられていく。
とはいえ今回のエピソードの根幹にあるのは「予防医療も必要だが、病院である以上は目の前にいる患者を助けたい」という、これまで守り抜かれてきた確固たるスタンスの反復である。同時に設備や機材への投資を削減したとしても、培われてきた確かな技術を持つ医療従事者を、また彼らに支払われる人件費をおろそかにしてはいけないという今日的な課題であり、そしてラストでおまけのように描かれる冷蔵庫修理のくだりで示されるように、仕事を通して得られる人と人とのつながりはないがしろにすべきではないということでもある。