戸松遥×松岡禎丞×水瀬いのり、『SAO』シリーズへの想い 「一緒に成長している実感」

戸松×松岡×水瀬『SAO』への想い

「今のアスナがあるのはミトのおかげなんです」

――本作の主役はアスナと言っていいと思いますが、ミトは新たに追加されたキャラクターとはいえ、アスナの中で大きな位置を占めるキャラクターです。彼女について、戸松さんはどう解釈しましたか?

戸松:キリトよりも先に出会っていたわけですし、今のアスナがあるのもミトのおかげなんですよね。そもそも「ソードアート・オンライン」に興味を持ったきっかけがミトですし、アスナにとっての原点となる刺激をくれた存在だったと思うんです。髪型についてのエピソードは特に印象的ですけど、アスナの重要な部分を構成している子だと思います。

――今回は、女の子同士の関係性が強く描かれているので、『SAO』本編とは異なる雰囲気がありますね。

戸松:ミトは彼氏みたいな存在ですよね。ミトがアスナを守って戦っていますし、アスナはミトがいなければ生き残ることができてなかったかもしれません。

――戸松さんは、2012年のTVシリーズとは異なる側面が描かれたアスナを演じてみていかがでしたか?

戸松:アニメ1期のさらにその前、ゲームを始める前のアスナは今まで演じたことがなかったので、気持ち的に一度リセットというか《アリシゼーション》編まで行った気持ちを忘れて、原点から始められるのが新鮮でした。この劇中で、どんどん成長していく姿を見せてくれるので、時系列順に収録できたこともあって、一緒に成長している実感を持てました。

――長く演じているキャラクターだけに、リセットするのは難しかったのではないでしょうか?

戸松:そうですね。今作のアフレコの日程が《アリシゼーション》編最終話のアフレコから、そんなに離れていなくて、最新の状態からいきなり古い状態に戻る感じでした。でも、逆にゲームが始まる前まで戻ってくれたおかげで、むしろやりやすかったです。これが中途半端に、例えば《アインクラッド》70層の時のアスナだったら、もっと難しかったと思います。キリトとの距離感も都度変わっているので、キャラ同士の関係性の感覚もすぐには思い出せなかったかもしれないです。

――松岡さんの方はどうでしたか? 過去のインタビューでは、14歳のキリトをもう一度演じるのは難しい、もしやるなら、キリトを演じていた当時の自分を演じるような感覚になるとおっしゃっていたことがあります。

松岡:どこかの時点に戻って演じることは、そんなに難しいことではないのですが、やはりその時の物真似をするのは避けたいと思いました。当時の僕の演技を今の僕が模写することはできますが、10年近く現場を経験しているのでスキルアップしているため、別のものになってしまいます。なので、それを一度まっさらにして、今の自分の感覚で14歳のキリトを演じたほうがいいと思いました。どういった風に演じればいいか、直前まですごく悩んでいて、当日は緊張して吐きそうでした。

――実際、一緒にアフレコされた戸松さんから見て松岡さんの芝居はどうだったでしょうか?

戸松:TVシリーズ1期の松岡くんが帰ってきたなと思いました。でもTVの時の方がすごかったです(笑)。あの時の松岡くんは、緊張していて心の扉をガチガチに閉めているような感じでしたから。その後、《アリシゼーション》編の頃にはだいぶ心を開いていたのですが、もう一度ガチガチに緊張している松岡くんを見られて、ちょっとうれしかったです(笑)。

――9年前のTVシリーズと逆の視点で、キリトとアスナの出会いが描かれます。

戸松:今のキリトよりも女の子慣れしてないので、可愛かったですよね。同世代のかわいい女の子と対面して緊張しているのか、剣を鞘に入れられないところとか(笑)。でも、いざという時には助けてくれるのは、やっぱりキリトらしいなと思う部分もありましたし、いろんな意味でキリトはキリトだなと思いました。

――松岡さんもキリトのうぶな部分を今回意識して演じていたのですか?

松岡:それはもう台本の中に全ての情報がはいっているので、その通りに演じました。自分の意識は、演じる時に邪魔になることがあるんですよね。ここをこうしようなど考えた時点で、それは自分の意識になってしまうので、あえて最小限に留めて、あとは現場で掛け合いをした時に生まれたものが全てだと思っています。なので、今回キリトがあのような感じになったのは、戸松さんと芝居させてもらったのが大きかったと思います。あとは絵からキリトが緊張している様子が伝わってきたので、それにも助けられました。

10周年、そして「SAO」開始年の2022年を迎える前に

――来年2022年は、作品世界で「ソードアート・オンライン」が始まる年です。その前年にこの映画が公開されることに、何か思うことはありますか?

松岡:『SAO』のゲームの収録をした時、バンダイナムコの方に、「実際にこういった技術は可能なんですか」と聞いたことがあります。その時、原理的には可能だけれど、神経にダイレクトに接続するのは倫理的な問題もあり、臨床実験などいろいろなことが必要になるといわれました。そういうことさえクリアできれば、『SAO』は現実になるということですよね。

戸松:TVシリーズが始まった頃、フルダイブでゲームの世界が本当にやってくるのか、実現したらいいなとワクワクしていました。今ではフルダイブとはいきませんが、VRゲームが手軽に遊べるようになって、時代が『SAO』に追いついてきていると実感できるようになってきていて、近い将来『SAO』の世界が現実になるかもしれないと楽しみにしています。

■公開情報
『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』
10月30日(土)公開
声の出演:松岡禎丞、戸松遥、水瀬いのり
原作・ストーリー原案:川原礫(『電撃文庫』刊)
原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec
監督:河野亜矢子
アクションディレクター・モンスターデザイン:甲斐泰之
キャラクターデザイン・総作画監督:戸谷賢都
サブキャラクターデザイン:秋月彩、石川智美、渡邊敬介
プロップデザイン:東島久志
美術監督:伊藤友沙
美術設定:平澤晃弘
色彩設計:中野尚美
撮影監督:大島由貴
CGディレクター:織田健吾、中島宏
2Dワークス:宮原洋平、関香織
編集:廣瀬清志
音楽:梶浦由記
音響監督:岩浪美和
音響効果:小山恭正
音響制作:ソニルード
プロデュース:EGG FIRM、ストレートエッジ
制作:A-1 Pictures
配給:アニプレックス
製作:SAO-P Project
(c)2020川原 礫/KADOKAWA/SAO-P Project
公式サイト:https://sao-p.net/
公式Twitter:https://twitter.com/sao_anime

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