『二月の勝者』柳楽優弥演じる黒木の教育法に学ぶ ラストでは“夜の顔”も明らかに?

『二月の勝者』柳楽優弥の教育法に学ぶ

 黒木が語る「もったいない」の言葉が、両親の思い込みや不安をじわじわと溶かしていく。ここで諦めてしまうのはあまりにも「もったいない」、4年生で入塾してから、匠の将来を思って懸命に支えてきたのに「もったいない」ーー匠には「できることがこんなにたくさんある」。黒木の言葉に、母親は涙をこぼす。

 ホロリとしつつも、視聴者の頭の片隅には「受験に必要なのは父親の経済力と母親の狂気」という言葉がふとよぎるだろう。しかし、黒木が匠を、子どもの可能性を信じているのは本当だ。佐倉に言った「楽しく勉強させてください」という言葉も、Rクラスだから適当で良いという意味ではない。「勉強が楽しくなければ中学受験は成功しない」からだ。

 「私は誰ひとりとしてできない子だと思ったことはありません」。黒木はそう言い切り、佐倉の痛いところを突く。しかし、佐倉が匠の鉄道好きを見抜いていた点については、黒木なりに彼女を褒めたようにも聞こえた。

 ラストシーン。整えていた髪を手櫛で乱暴に乱し、ネクタイを緩め、笑みを浮かべて夜の街を歩く黒木。女性らと話しながら向かった店の前で声をかけたのは、佐倉らの行きつけ「井の頭ボウル」の店長・しんちゃん(加治将樹)の娘・紗良(住田萌乃)だった。普段とはまるで異なるラフな口調で親し気に話しながら、黒木は沙良に封筒を差し出す。明らかになった黒木の夜の顔に、一体どんな秘密が隠されているのだろうか。

 人間的な温度を一切感じさせないロボットのような表情から、静かな熱を持って両親や子どもと対峙する姿、そして今回見せたもう一つの顔ーーそれらを演じ分ける柳楽の技量も、本作の見どころであり軸である。

■放送情報
『二月の勝者ー絶対合格の教室ー』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:柳楽優弥、井上真央、加藤シゲアキ、池田鉄洋、瀧内公美、今井隆文、加治将樹、住田萌乃、岸部一徳ほか
原作:『二月の勝者ー絶対合格の教室ー』高瀬志帆(小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』連載中)
脚本:成瀬活雄
音楽:小西康陽
主題歌: DISH//「沈丁花」(ソニー・ミュージックレコーズ)
テーマソング:NEWS 「未来へ」(Johnny’s Entertainment Record)
演出:鈴木勇馬ほか
プロデューサー:次屋尚、大塚英治(ケイファクトリー)
制作協力:ケイファクトリー
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/2gatsu/
公式Twitter:@2gatsu_ntv
公式Instagram:@2gatsu_ntv

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