二宮和也、2度目の“軍兵役”をどう演じる? 『硫黄島からの手紙』から約15年の変化に期待

 二宮和也が2022年公開予定の映画『収容所(ラーゲリ)から来た遺書(仮)』で主演を務めることが発表された。本作で2度目となる軍兵役への抜擢におのずと期待を寄せる人も多いことだろう。

 二宮といえば、アイドルグループ「嵐」(現在活動休止中)での活躍に加え、役者としても高い評価を受けている。アイドルに与えられたステレオタイプなイメージを覆すかのように、映画・テレビドラマで卓越した演技力を見せ、多数の賞を受賞してきた。二宮が今回挑戦するのが、シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に不当に抑留され捕虜となり、過酷な環境下を生きる山本幡男役だ。氷点下の気候や貧しい食事など、誰もが絶望するような状況でも生きる希望を捨てないという山本役への抜擢に、『硫黄島からの手紙』(2006年)の西郷役が脳裏をよぎる。

 クリント・イーストウッド監督作『硫黄島からの手紙』は、役者・二宮のキャリアにおいて特に言及されてきた映画だった。彼の演技においての実力を語るには外せない作品であり、日本のみならず世界に二宮の名を轟かせた原点でもある。

 同作は、東京から1200キロほど南に位置する小さな島にて、第二次世界大戦末期に起きた日本軍とアメリカ軍との戦いを描いている。物資も思うように届かずに武器も食料も減っていく中、日本兵は本土を守るための最後の砦として硫黄島を少しでも長く守り抜こうと戦っていた。二宮はその兵士の内のひとり、陸軍一等兵の西郷昇を演じた。

 この作品においての西郷は語り部としての役を担いつつ、もっとも豊かに感情を表現する人物でもある。「家族を守るために戦地に行きながらも、その家族のために絶対に生き永らえたい」という矛盾を抱えた西郷は、島での自身の境遇を淡々と冷めた様子で受け止めている。かと思えば、その言動は時にユーモラスに表現されることも。また、友の死を前に涙を流し悲しみに暮れ、大切な人の大切なものを奪った米兵には我を忘れて怒りを爆発させる。

 そして彼が大切な妻に向ける眼差しからは、暖かい春のような温もりさえ感じられた。二宮はこうした西郷の一つひとつの感情に寄り添い魂を吹き込み、「そこに生きた男」をはっきりと描き出す。兵士がまるでゲームの駒のように簡単に死んでゆくという戦争の実情が淡々と描かれる作品の中において、西郷が兵士である前に「人」であり「夫」であり「友」であることを強く意識させる役割を担っていると感じた。



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