『和田家の男たち』で3年ぶり連ドラ主演 相葉雅紀の演技の魅力は“親近感”と“安心感”にあり

 結婚報告が話題となり、さらに注目を集めている相葉雅紀。2021年10月期・金曜ナイトドラマ『和田家の男たち』で、テレビ朝日で3年ぶりに主演を務める。

 相葉雅紀といえば、『I LOVE みんなのどうぶつ園』(日本テレビ系)を筆頭にバラエティ番組での活躍が目立つ。『和田家の男たち』ではどんな役柄を演じるのかを解説するとともに、過去の金曜ナイトドラマ出演作『マイガール』(テレビ朝日系)、『僕とシッポと神楽坂』(テレビ朝日系)を紐解きながら、役者・相葉雅紀の演技の魅力に迫りたい。

『和田家の男たち』でバズを狙うネットニュース記者を熱演

 『和田家の男たち』は、親子三世代でマスコミ一家となった和田家を中心に展開される、男だらけのホームドラマ。父・秀平(佐々木蔵之介)はテレビ局、祖父・寛(段田安則)は新聞社に勤め、相葉雅紀が演じる息子・優はネットニュースメディアと、三者三様にマスコミ業界を支えている。

 元々は別会社に勤務していた優だが、コロナ禍により倒産。生計を立てるためにデリバリーサービスで働きながら糊口をしのいでいた。しかし、とあるきっかけからこれまで疎遠だった父と祖父に再会。3人での暮らしが始まったタイミングで、ネットニュースメディア『Buzz Topic News』への就職が決まる。テレビマンの父や新聞命な祖父に挟まれつつも、ネットニュース記者として手応えを感じる優。とある出来事から、親子三世代の仕事が不思議な繋がりをみせるーー、といったあらすじだ。

 相葉雅紀演じる優の人柄に触れていこう。「コロナ禍で会社が倒産しちゃって、仕事探してるんだ〜」と、あっけらかんとした口調で他人に打ち明ける様子や、父や祖父のために料理や掃除などの家事を率先してやる献身さが感じられる。

 素直な人間性も想像できるあたり、過去に同枠で放送されていたドラマ『僕とシッポと神楽坂』で演じた獣医師・高円寺を思い出す方も多いかもしれない。彼も口調こそ無愛想でありながら、自宅近くの神社にお参りする律儀さを持っていた。

 『和田家の男たち』の脚本を手がける大石静は、直近だとドラマ『恋する母たち』(TBS系)や『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系)などの話題作に携わってきた。前者では、人妻でありながら不倫してしまう女性たちの心情を赤裸々に描き、後者では、ヒロインの魂が別の男性へと入り込んでしまう一風変わったラブストーリーを実現させた。

 彼女がホームコメディを描いたらどうなるか、そして、彼女の脚本上で相葉雅紀の演技はどのようにコミカルに動くのか、期待が止まらない。

『僕とシッポと神楽坂』で魅せた、心優しい獣医師の姿

 『和田家の男たち』で相葉雅紀はどんな演技を見せてくれるのか。過去作を紐解きながら考えてみる。まず挙げたいのは、先述した同じ金曜ナイトドラマ枠で放送されていた『僕とシッポと神楽坂』(2018年)。本作で、相葉雅紀は確固たる技術を持った心優しい獣医師・コオ先生を演じている。

 実家に戻り、地元の動物病院を手伝うつもりだったコオ先生。旧知である徳丸院長はすでにその場からいなくなっており、そのままの流れで動物病院を継ぐことになってしまった。「……このたぬきジジイ」と悪態をつく場面もある。しかし先述のように、神社に参る律儀さや、困難を目の前にしても「……ご飯にするか」と冷静に対処する楽観的な部分も。

 本作は動物やその飼い主との交流を描いた物語。半ば強制的に後を継ぐことになった病院では、人が診察に来るも「……ずいぶん若いな、やっぱりいいや」と帰られてしまったり、「徳丸先生ならなんとかしてくれた」と言われてしまったり……。最初こそ踏んだり蹴ったりで、獣医師に向いてないのかと悩む場面もある。しかし、確かな技術を持ったコオ先生はみんなに信頼され、次第に愛される存在となっていく。動物を扱う手際も見事なものだ。2004年から動物バラエティ番組『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系/現:『I LOVE みんなのどうぶつ園』)にて数々の動物に触れてきた経験が、確かに生きていると感じさせる。病気や怪我を煩った動物に優しく触れる様子、自分のことのように痛みや苦しみを感じる表情。相葉雅紀の人柄あってこその表現が随所に見られる作品だ。

 相葉雅紀が持つ演技の魅力として、深刻さを与えないことによる「親近感」と「安心感」がある。「深刻になるな、真剣になれ」とは、スウェーデン出身の元プロテニスプレイヤー・ビョルン・ボルグの名言だが、相葉雅紀の演技を見ていると、この言葉を思い出すのだ。

 人は、深刻になってはいけない。前を向き、一歩踏み出すための準備として、一度「真剣に」目の前の問題と向き合わなければならない。人には必ずそんな瞬間が訪れる。そんな時でも、決して深刻になってはいけない。いつも側に寄り添い、前向きになれる言葉を「真剣に」かけてくれるような「親近感」と「安心感」が、彼の演技からは感じ取れる。志村けんの急逝に寄せた相葉雅紀の言葉からも、それが伝わってくるだろう。彼がアイドルとしてもタレントとしても役者としても役割を求められるのは、その所以からだ。

 また、『僕とシッポと神楽坂』の監督を手がけた深川栄洋は、『和田家の男たち』でも再び相葉雅紀とタッグを組む。映画『神様のカルテ』、ドラマ『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)を筆頭に、医療現場を多彩な角度から切り取ってきた深川栄洋監督が、『和田家の男たち』ではどのようなホームコメディを実現させるのか。合わせて注目したい。



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