『おかえりモネ』亮と未知が“縛り”から解放されることを願って 心強い大人たちの冷静さも

『おかえりモネ』亮と未知への願い

 一方で、こういう時の大人組の冷静さも心強い。新次は野坂や百音が必死に分析したデータに基づいて出した対処法と同じ結論を、現場の状況把握と地図を確認しただけで導くことができた。やはり彼が本当に優秀な漁師であることがわかるシーン。思えば、百音が生まれた嵐の夜、島から船を出したのも彼だった。そして、朝岡。こういうとき誰よりも冷静な彼は焦る百音に「自分たちの力を過信してはいけない」と嗜める。

「不確かな未来を自分たちの思う通りに操作できるわけではありません。祈るしかできないという経験を、私たちは何度もしています」

 ずいぶん前のことに思える、『おかえりモネ』第5話。朝岡と出会った百音が、彼と別れる際に見ると良いことがあると言われる彩雲が10分後に出ると予告され、その通りになった時「なにこれ、魔法!?」と驚いていた。しかし、違うのだ。今回の朝岡が言う通り、気象予報士はあくまでデータという根拠に基づいた予測するしかなく、“魔法使い”ではない。だからこそ、最悪の事態を免れるために事前勧告を必死になって行うのだ。それは東京編でも描かれたこと。そして毎回、やるべきことをやった後に彼らができることは、祈ることしか残されていない。初めて会ったとき百音にとっての“魔法使い”だった、そして誰よりもその苦い経験してきた朝岡だからこその、重みのある言葉だった。

 時刻は午前3時。たくさんの人が亮の船を心配して起きているなかで、鳴り響く一本の電話。すぐに百音の下にも届いた知らせは、未知のためにも、新次のためにも、みんなのためにも吉報であってほしい。

※高田彪我の「高」はハシゴダカが正式表記。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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