『光秀のスマホ』から進化した『土方のスマホ』 新選組の本質をスマホで表現するセンス

『光秀のスマホ』から進化『土方のスマホ』

 それは冗談として、『土方のスマホ』ではキャラクターが『光秀のスマホ』よりスマホやSNSを積極的に活用している印象を受ける。光秀は別アカで情報操作する姑息なところやフォロワー数に対する自意識が強調された陰キャだったが、土方は新選組公式アカウントを立ち上げて公式マークをもらったり音声アシスタントに拷問の仕方をレクチャーされながら倒幕派の作戦を聞き出したり、池田屋での活躍をライブ中継しバズらせたりして喜ぶ陽キャ。そんな土方にはスマホを身体の一部として使いこなしている現代性を感じる。なによりいいのははじめて京都に出てきて近藤を清水寺背景で「ジョーイ(攘夷)」と言いながら撮影するなど友人とのコミュニケーションツールとしてスマホを使う描写。新選組――近藤と土方の本質である友情がスマホの使い方で確実に表現できているからこのドラマはミニドラマでコメディであっても信頼できる。ライブ映像がSNS画面に収まっていく流れなどさりげなく画づくりにも凝っていた。

 だがどんなに愉快痛快なコメディであっても『光秀』のときもそうで歴史は悲劇で終わることが決まっている。新選組も最初は血気盛んであったがじょじょに追い込まれていく。隊員同士がぎくしゃくし、フォロワーが減り公式マークがなくなり……とまさに状況が可視化されていく。最終話「武士として」は10月13日放送。『光秀』のときもいい感じにブラックユーモアが効いていたので『土方』の締め方にも期待したい。

 さて、光秀、土方……と来て第3弾は来年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に合わせるとしたら『義経のスマホ』だろうか。『弁慶のスマホ』もいいかな。

■放送情報
『土方のスマホ』(全6話)
NHK総合にて、23:30~23:35放送
9月27日(月)第1話「武士だぜ!今日から俺は!!」
9月28日(火)第2話「君の名は?新選組だ!」
9月29日(水)第3話「待たせたな!お待たせしすぎたかもしれません!」
10月11日(月)第4話「粛清、始めました」
10月12日(火)第5話「変わる変わるよ時代は変わる」
10月13日(水)最終話「武士として」

出演:窪田正孝、山田孝之、馬場園梓、荒牧慶彦(声の出演)、佐倉綾音(声の出演)
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.jp/p/hijikata-smapho/ts/W4W3LVGVRK/

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