2020年の傑作『光秀のスマホ』を見逃すな! 歴史×バラエティ×ドラマが掛け合わされた新感覚の作品

2020年の傑作『光秀のスマホ』を見逃すな! 歴史×バラエティ×ドラマが掛け合わされた新感覚の作品

 戦国武将・明智光秀が織田信長に仕官し、本能寺の変を起こすまでをわずか30分で描いた『光秀のスマホ』(NHK総合)は、2020年のドラマの傑作のひとつといっていい。

 1話がわずか5分間の全6回。つまりたった30分間の短い連ドラながら、満足度の高さは2時間スペシャル級。へたしたら大河ドラマ1年分(これは盛りすぎか)。

 もしも戦国武将がスマホをもっていたらという現代性に富んだ遊びごころで、歴史もざっくり学べるお得感。ギャラクシー賞10月度月間賞も受賞している。

 はじまりはTwitter。10月4日に「スマホを持ってる明智光秀」というアカウントが誕生。NHKの公式なのか、なりきりなのかわかりにくいが、ドラマ(大河ドラマ『麒麟がくる』)の画像を多用しているので、何かの仕掛けに違いないと思っていたら、10月8日に『光秀のスマホ』の告知がされた。“拙者・明智光秀が、スマホを駆使して戦国時代を駆け抜けるドラマが放送されます(ネタじゃなくてホントのやつです)”(Twitterより)


 そして、10月12日から放送開始。第1話から冴えていた。ときは桶狭間の戦いのころ。明智光秀(声と体:山田孝之)は、SNSのフォロワーが少ないことを気にしたり、エゴサーチをしたり、Tweetを裏垢に書き込んだりしている。そして、SNSを駆使して織田信長(声:島崎信長)に仕官することに成功する。

 本作の明智光秀、よくいえば人間的、悪く言えばみみっちい人物である。大河ドラマ『麒麟がくる』の光秀(長谷川博己)は、これまでの通説――信長に途中で疎まれて意地悪されたことを恨んで反逆に出た(本能寺の変)――とは少し違って、もうすこし複雑な関係性を描いているが、『光秀のスマホ』での信長との関係性は、いわゆる従来の、信長は横柄で、光秀はそれに辟易している体(てい)で描かれている。スマホの光秀のほうが、大衆受けすると思う。

 もともと、戦国武将の仕事や関係性は、現代のサラリーマンに例えるとわかりやすい。『光秀のスマホ』の光秀は企業をいくつか転々としたすえ、信長の会社に入ったというふうにも見える。そこで手腕を発揮するも、上司(信長)が無理難題をつぎつぎふっかけてくることに頭を抱えつつ、ライバル・秀吉(和田正人)と牽制し合いながら、出世街道を進んでいく。その様をスマホのなかのSNSのやりとりのみで見せる妙。これだけで、光秀をとりまく関係性や物事の進行がよくわかる。

 Twitter的なもので情報を発信したり、収集したり、ガス抜きしたり。LINE的なもの(FUMI)で仕事の連絡を取り合ったり、ガス抜きしたり。企業戦士だが、その反面、いい夫でありいい父でもあって、妻・煕子や娘・玉のFUMIは癒やし。

  5分間の番組ながら、世界観をしっかり作り込んで密度が濃い。基本、光秀目線で、スマホ画面と手指と足元しか映らないが、足元や遠景の美術は本格時代劇のセットなのだ。着物なども。

 また、美術セットは大河ドラマも手がけた美術チームが過去のさまざまな時代劇セットのパーツを組み合わせて設営し、小道具や造園も『麒麟がくる』のスタッフが協力しているという。

 最も大事なスマホ画面は、各種アカウントやアイコン、SNSの書き込み、ネットニュースなど「あるある」に満ちていて隙がない。ゆる~く見えて、すべてがしっかり作り込まれている。脚本と別にスマホ文案スタッフ(スエヒロ、ジブ)が分業している点にもこだわりを感じる。

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