「助けてもらってばかりでもいい」 百音の言葉に刻まれた『おかえりモネ』が描くテーマ

『おかえりモネ』百音がたどり着いた答え

 もう一つ挙げたいのは、百音があかりに言った「もし、助けてもらってばっかりだったとしても、それはそれでいいっていう世の中の方がいいんじゃないかな」というセリフだ。例えば、百音が菅波に助けられているようで、菅波もまた百音から相手の痛みを想像することができるようになったように、あかりの存在によって亜哉子が教えることの喜びをもう一度実感できたように、知らず知らずの内に人は助け合っているということ。

 震災以降、さらにこのコロナ禍においては、より利他的な行動が問われる時代になった。だがそんな「人の役に立ちたい」という気持ちは、俯瞰してみれば利己的と表裏一体でもある。だからこそ、助けてもらってばかりでもいいと自分を許すこと、許してもいいということ。「人の役に立ちたい」という一心でいた百音が、その答えにたどり着いたことは大きな成長であり、またそのことをあかりが知らず知らずのうちに百音へと伝えているのである。

 第22週「嵐の気仙沼」では、未知が亮(永瀬廉)へと「海から戻ったら話したいことがある」と告げる。しかし、亮の乗る船は嵐で戻れなくなってしまうのだった。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00~8:15、(再放送)12:45~13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30~7:45、(再放送)11:00 ~11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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