『おかえりモネ』伊東蒼、目が離せない“異質感” 物語を動かす重要な役どころに?
映画『ギャングース』では、戸籍を持たない、親元を離れて暮らす少女・ヒカリ役で強い存在感を放った。伊東の魅力はなんと言っても、目だけで幅広い感情のバリエーションを雄弁に語れるところだろう。台詞の少ない役どころにも関わらず、瞳の奥に深い悲しみや怯え、少しの安堵が瞬間顔を覗かせる。子どもながら、自身の感情をストレートに表出することを知らず、これまで一体どれだけ彼女が大人たちに裏切られ、ないがしろにされてきたのか、目に全てを滲ませられてしまう。信じたいのに信じられない、差し出された手を握りたいけれど躊躇してしまう、常に振り子のようにスイングする役柄の気持ちを目に宿せるのだ。
現在公開中の映画『空白』でも、万引き未遂後、逃走中に車に轢かれてしまう娘・花音役を熱演しているが、こちらも決して台詞が多いわけでも登場シーンが多いわけでもないのに、どこか彼女の周りだけ空気が違って、周囲に溶け込み切れないバリアが見えた。学校でも自宅でも居場所がなく、自分のことを変えたくてもその手立てさえわからない、自分の声は誰にも届かないのだと静かに絶望している複雑な内面を映し出していた。いずれの作品でも、物語を大きく動かす役どころを演じることが多く、また彼女のようなキャラクターがいるからこそ作中の人間同士の“繋がり”が浮き彫りになる。
ちなみに、伊東は『それでも愛を誓いますか?』(ABCテレビ・テレビ朝日系)への出演も決まっており、さらには来年公開の映画『さがす』では、『おかえりモネ』出演中の清水尋也、森田望智との共演も控えている。
伊東が『おかえりモネ』ではどんな存在感を残していくのか、また公式サイトのフォトアルバムでは百音の母・亜哉子(鈴木京香)とあかりの2ショットが何枚か見られたが、2人の間にどんな関係があるのか必見だ。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK