『ロスト・ワールド』は本当に“駄作”なのか フィルムメーカーから愛される理由とその真価

映画製作者から評価される続編の真価

 9月17日に『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で放送される『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』。何を隠そう、人気シリーズの2作目でありながらも何かと“駄作”のレッテルを貼られてしまっている不遇な映画だ。確かに、ダメなところもある。あるけど、『ジュラシック・パーク』という傑作にして頂点と比べての評価であれば、それはあまりにも不利だと思う。筆者は本作が子供の頃から今でも大好きだが、なぜ人々からやいのやいの言われてしまうかも理解できる。しかし、良いところだってたくさんあることを声高らかにお伝えしたい。

登場人物が魅力に欠ける? やばいやつのビュッフェ状態

 本作が不評である大きな原因は、登場人物たちの魅力の乏しさだ。1作目にも登場した人気キャラクター、マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)を主人公として物語が進んでいくものの、彼以外の人間が全員まあまあヤバい。その筆頭がマルコムの彼女サラ・ハーディング(ジュリアン・ムーア)。ステゴサウルスの赤ん坊に不用意に近づいたことから親恐竜の怒りを買ったり、ティラノサウルスの血がべったりついているシャツを不注意に着用し続けたり、最初から最後まで周囲にいる人間を命の危険に巻き込んでいく。そして一見頼りがいがありそうな調査隊の若者ニック・ヴァン・オーウェン(ヴィンス・ヴォーン)も、蓋を開けてみたら恐竜乱獲を防ぐためにハモンド(リチャード・アッテンボロー)に極秘で雇われていた、環境テロリストだった。しかも彼が何も考えずに怪我をしたティラノサウルスの子供を保護してしまったことから、両親ティラノが調査隊を襲い、その結果“唯一の善人キャラ”であるエディが半分に食いちぎられるという、悲惨な死を招くことに。

 恐竜ハンター側も、邪悪なハモンドの甥っ子ルドローを筆頭に、恐竜をいじめる男や、古生物学者なのに蛇にビビって命を投げ捨てる男、一緒に働いている仲間に注意を払わないやつなど、よりどりみどりである。大丈夫、大概が食べられてしまうから。しかしエディのように、こっちサイドにも“史上最強の猛獣ハンター”と名高いローランドという良識人がいた。無愛想ではあるものの、サラやマルコムの娘に気を遣ったり、誰よりも仲間思いだったりと良い奴なのだ。

 こんなメンツに取り囲まれてしまうものだから、前作でお調子者キャラだったマルコムも今作でシリアス路線へとキャラ変更を余儀なくされてしまう。そして何より唐突に現れた彼の娘ケリーも、勝手に車に潜り込んで島についてくるというどうしようもない困ったちゃんだ。くわえて、彼女の存在が本作のラプトルを少々間抜けにさせてしまった。

シリーズで異色となるラプトルの扱い

 ヴェロキラプトルは、ティラノサウルスに並ぶ『ジュラシック・パーク』シリーズの顔。“クレバーガール”の異名を持ち、その高い知能と狡猾さから1作目ではグラント博士らを窮地に追いやった。しかし、続編となる本作でも草むらでの奇襲攻撃という最高の見せ場がありつつも、その後はマルコムの娘ケリーにしてやられてしまう。彼女が体操部に所属している、という設定ばかりにその力を以って成敗されるという、ケリーの見せ場にラプトルが利用されてしまうのだ。人間キャラを活躍させるために、不本意ながら餌食になってしまったラプトルたちを少し気の毒に思う。

 とはいえ、このケリーとマルコムに見られる親が子供を守る姿勢はスティーヴン・スピルバーグが『ロスト・ワールド』で描きたかったテーマに繋がっていく。

スピルバーグが手がけた数少ない続編 受け継がれたDNA

 そもそも、スピルバーグが自身の監督作の続編を手がけることは珍しい。本作と、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』のみである。そんな彼は、『ロスト・ワールド』を1作目とは全く違う形に作ることにした。

 
 
 
 
 
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『ジュラシック・ワールド』公式Instagramより

 建設中のパークを舞台に「人間が自然に干渉することの愚かさ」を描いた前作。そのDNAは続編にも受け継がれている。そのなかで、1作目では描かれなかったスピルバーグお得意の“家族愛”をテーマにしたのが『ロスト・ワールド』なのだ。それは人間に限らず、序盤に登場するステゴサウルスの家族、そしてティラノサウルスの子と親にも投影されている。

 そんな“家族愛”を掲げつつ、1作目よりも本作でフォーカスして取り沙汰されているのが「アニマルライツ」というテーマだ。人間によって勝手に甦らされた恐竜たちは、別の島で自然に還っていた。しかし、そこに再び人間が人間の都合で彼らを捕獲し支配しようとする。近年、ペットなどを中心に動物側にもあって然るべきと考えられている権利(アニマルライツ)。それについて考えさせられるという内容は、同じようにシリーズの2作目の立ち位置にある『ジュラシック・ワールド/炎の王国』にも踏襲されている。



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