戸田恵梨香×永野芽郁、“修羅場”経験者だからこその連帯感 『ハコヅメ』の中毒性

戸田恵梨香×永野芽郁『ハコヅメ』の中毒性

「私たちは日本一ヤバい組織のオンナだって自覚を持っといて」

 警察×バディものと聞いて最初に思い浮かべるドラマはなんだろう。そのものズバリの『相棒』(テレビ朝日系)や社会問題に斬り込んだ『MIU404』(TBS系)、物理学者と女性刑事の『ガリレオ』(フジテレビ系)、親子設定の『おかしな刑事』(テレビ朝日系)等、いろいろタイトルは出てくるものの、女性同士のバディが活躍する警察ドラマを思い出すのは難しい。近年でいえば、波瑠と鈴木京香が組んだ『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)くらいではないか。

 そんな中、女性制服警官のバディものという、じつはありそうでなかったドラマが支持を広げている。日本テレビ系列で放送中の『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』だ。

 元刑事課のエースで、ミス・パーフェクトとしてその名を馳せる藤聖子(戸田恵梨香)と、藤とともに町山交番に勤務する新人警察官・川合麻依(永野芽郁)。このふたりのバディ感、永遠に見ていられる引きがある。

 凛としたオトコマエの藤と、一見ヘタレに見えてじつは芯の強さを持つ川合。藤は一般社会を“カタギの世界”と呼び、川合は「ここにはゴリラしかいませんから!」と自分たちが身を置く町山署について不満を述べる。ふたりがポンポン繰り出すせりふのテンポ感は、まるで芸歴10年の芸人コンビのよう。

 完全に男社会である警察組織において、藤と川合は文句を言いながらもたくましく仕事をこなす。といっても、彼女たちが向き合うのは、派手な警察ドラマに出てくる連続殺人事件や大掛かりなトリックを使った犯罪ではなく、窃盗や自殺未遂、強制わいせつといった生活のすぐ隣にある事件だ。それなのに目が離せないのは、藤と川合の唯一無二のバディ感と、犯罪被害者にとことん寄り添う脚本(根本ノンジ)の視座、そして源(三浦翔平)、山田(山田裕貴)、伊賀崎(ムロツヨシ)ら、町山警察署員の濃い面々といった、すべてのファクターが上手く化学反応を起こしているからだろう。

 藤と川合のバディ感でおもしろいのは、藤が後輩の川合をリードしているA面と、川合の行動が藤に好影響を与えているB面とが同じ割合で進んでいくところ。

 たとえば、第3話と第4話で痴漢の被害にあった女子高校生の心を開いたのは川合だったし、第2話の窃盗事件で、信じていた恋人が窃盗犯だったと知った女性のケアをしたのも川合。警察官としてのキャリアも実力も藤の方が上ではあるが、決して一方がつねに上位にいる関係性ではない。

 この藤と川合のバディ感を裏付けるのが、戸田恵梨香と永野芽郁のある共通項だ。

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