『ヒロアカ』ロディ・ソウル×吉沢亮、キーパーソンとしての存在感 声の演技にも注目
※本記事は『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』に関するネタバレを含みます。
8月6日、映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』が公開された。滑り出しは上々で、8月9日までの4日間で興行収入は9.4億円を突破。大ヒットの予感だ。同作には緑谷出久や爆豪勝己、轟焦凍たち雄英高校1年A組の仲間たち、オールマイトやエンデヴァー、ホークスなどのプロヒーローなどおなじみの顔ぶれが勢揃い。その他にも映画オリジナルキャラクターが登場し、ストーリーを盛り上げている。数多いるキャラクターの一人が、ロディ・ソウル。声優を担当しているのは『ヒロアカ』をこよなく愛する俳優の吉沢亮である。
ロディはデクや爆豪、轟たちが派遣された、日本から遠く離れた異国・オセオンのトレーラーハウスで暮らす少年。両親はおらず、幼い弟妹と3人で暮らしており、弟妹思いの優しい兄だ。元々は裕福な家の生まれだったが、世界中の個性保有者の殲滅を目論む組織・ヒューマライズに所属していた父親がある日失踪。「ヒューマライズ=やばい組織」という認識が広まっていたため、周りから疎まれ、虐げられ、暮らしが一変。トレーラーハウス暮らしになったというわけだ。子ども3人で生きていくため、ロディは犯罪の片棒を担ぐ運び屋として生計を立てており、逃げ足は天下一品。運動神経も抜群で、個性を使ったデクを巻くほどだ。表向きはお調子者で飄々としているが、ヒーローが助けに来ない地域で暮らしていたためヒーローに対して不信感を抱いており、初めはデクにも本心を見せず裏切り行為もしていた。
同作はこのロディがキーパーソンになり、物語が展開していく。人気が出そうなキャラクターで、仮に本誌やアニメにロディが登場してもいいと思えてくるほど。デクの声優を務める山下大輝も、人気ランキングに食い込んでくるレベルとコメントをしている。ロディの魅力は細かく語れば多々あるが、一番は「外側と内側のギャップ」ではないだろうか。器用なタイプで何でもやってのけるロディはキレ者かと思いきや、意外にも短絡的な思考の持ち主だったり。逆に幼い弟妹を育てるためにパイロットの夢を諦めて働く苦労人なのに、何も気にしていないかのように振る舞ったり。父親を含め周囲に裏切られた経験があるからこそ「世界と家族なら家族を選ぶ」と言う現実主義と思いきや、実は絶対に諦めないデクたちに感化されてヴィランの裏をかいてミッションを完遂させたり。良くも悪くも大きなギャップを持っている。
人間、ミステリアスな人に惹かれるものだ。本音を隠しがちなロディは、それの最たる例ではないだろうか。一方で、本音が“一切”見えなければギャップにはならない。ストーリーの中にもロディの本音が散りばめられているが、彼にはなんと言ってもピノがいる。ロディの個性から生み出された鳥型の小型生物であるピノは、心の鏡。心境を映し出すかのように表情が変化していく。ピノが存在する=嘘がつけないという設定は、ロディのギャップをうまく演出していると言っていいだろう。