中村佳穂、佐藤健、成田凌、幾田りら 細田守最新作『竜とそばかすの姫』声優陣の表現力

『竜とそばかすの姫』声優陣の表現力

 7月16日に公開開始した細田守監督の新作『竜とそばかすの姫』が、公開3日間で動員60万人を突破し、好発進を切った。2018年の『未来のミライ』以来3年ぶりとなる細田監督作品であり、カンヌ国際映画祭の「カンヌ・プルミエール部門」に選出されるなど、話題性の高い今作だが、歌姫である主人公すず/ベル役にシンガーソングライターの中村佳穂が抜擢されるなど、声優陣のキャスティングにも注目が集まっている。

 『竜とそばかすの姫』の主人公は、高知の田舎に住む女子高生の内藤鈴(すず)。すずは、幼い頃に母を亡くしたことをきっかけに、大好きだった歌を歌うことができなくなってしまっていた。

 そんなある時、すずは全世界の50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U>に、「ベル」と名付けたアバターで参加する。現実とは違う姿、違う名を持つことで、<U>の中でようやく歌うことができるようになるすず。その歌声はまたたくまに話題となり、ベルは<U>の世界の歌姫となっていく。

 映画の冒頭、<U>の世界の美しいグラフィックの中で空飛ぶくじらの背に乗り、真っ赤なドレスで歌うベルの姿と歌で、きっと一気に引き込まれるだろう。この、すず/ベルを演じているのが、シンガーソングライターの中村佳穂だ。

 中村は20歳から音楽活動を開始し、2016年と2019年に『FUJI ROCK FESTIVAL』にも出演を果たしたミュージシャン。オーディションで大絶賛を受け、すずとベル、そしてベルの歌唱すべてを担当する立場として抜擢された。

 ベルには、<U>の世界を魅了するだけの、説得力のある歌声が不可欠だ。その一方、現実のすずは引っ込み思案な普通の女の子として等身大の姿であることが求められる。大きく異なる二つの顔を持つすずを、中村は1人の人間として見事に演じきった。中村の存在なくして『竜とそばかすの姫』のこの完成度はあり得なかったとさえ言えるかもしれない。

 そして「二面性」というキーワードは、『竜とそばかすの姫』全体における重要なテーマでもある。

 すず含め、<U>に参加している人たちはみな、現実の身体と<U>でのアバターの二つの姿を持っている。そして、現実の姿を知られていないからこそ、<U>では新しい自分として自由に過ごすことができる。ベルが出会う「竜」もそうだ。

 凶暴さゆえに<U>の秩序を乱すものとして忌み嫌われている竜。その反面、小さなアバターに優しくしたり、何かにひどく怯える姿を見せたりもする。そんな竜を演じるのが佐藤健だ。荒々しく凶暴な姿から、か細く弱々しい姿まで、複雑な内面を抱える竜を、光の当たる角度によって違う色に見える石のように繊細に演じてみせた。



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