杉咲花、成田凌の“到達点”をもう一度! 『おちょやん』総集編を楽しむポイントを解説

『おちょやん』総集編を楽しむポイント

 また、『杉咲花のFlower TOKYO』でよく議論に上がっていたのが、小暮派か一平派かということ。鶴亀撮影所で仮の恋人役を演じ、千代に初めての恋心を教える小暮(若葉竜也)は百合子を思いながらも、千代に救われていた気持ちは本当だったとプロポーズを告げる。一方の一平(成田凌)は灯子(小西はる)との不倫により千代と離縁する不実なイメージが残っているが、幼なじみとして常に千代のそばにおり、独りになった千代を抱きしめたのは一平だった。

 女優の道を選んだ千代に「お前の苦しみはお前にしか分からへん」と声をかけたのも一平だ。ユニークなのは若葉竜也が主演を務める映画『街の上で』に成田凌が、成田が主演の『くれなずめ』に若葉がと、互いに共演作品が続いていること。特に若葉は『おちょやん』において注目を浴びた俳優の一人であり、『街の上で』を経て、もう一度『おちょやん』に帰着するのも新たな発見を見出す視聴の仕方であろう。

 『杉咲花のFlower TOKYO』での杉咲と成田の話の中で、印象に残っているのが、今後『おちょやん』を超える作品に出会えるのかという一言だった。杉咲は公式サイトの「花note」で「『おちょやん』は、私の代表作であり、一生の宝物です」と言い切っている。最終週で千代と一平が再会を果たすシーンはスタッフを含め、チームとして阿吽の呼吸のような空気が漂っていたようだ。それはきっと、およそ1年にわたる撮影を座長として引っ張ってきた杉咲の愛情にほかならない。今後も杉咲と成田は、俳優として違った色で私たちを驚かせてくれるだろうが、一つの到達点として『おちょやん』はこれからも観るたびに私たちを楽しませてくれるだろう。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』総集編
総合:6月19日(土)前編15:05〜16:35/後編:16:35〜18:00
BS4K:7月3日(土)前編14:00〜15:30/後編:15:30〜16:55
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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