レギュラーキャストが複数キャラを演じ分け 兼ね役を知るとより楽しめるアニメ『ヒロアカ』

2.天﨑滉平が物間寧人役&黒色支配役で見せた二面性のある表現力

 続く第2試合は、物間役・天崎滉平が黒色支配を、飯田役・石川界人が吹出漫我役を、耳郎響香役・真堂圭が小森希乃子役を演じ、A組とB組の兼ね役がそれぞれ入り乱れるキャスティングとなった。

 黒色は特に、アニメ5周年記念企画としてメインキャストと5期第1クールでOP主題歌を務めるDISH//が出演したYouTubeの特番や『オールマイトニッポン』内でも、岡本が度々「中二心をくすぐられる」「オール・フォー・ワンもコントロールすることができるのでは!?」と、B組の注目メンバーとして期待を寄せていたキャラクター。劇中やラジオ内などでも言及される“ヴィランっぽい”個性の彼らを見事に演じ分けた天崎の声が注目ポイントとなっている。天崎は、『ハイスコアガール』の主人公・矢口春雄役などで知られ、2019年には第13回声優アワードで新人男優賞・歌唱賞をW受賞した若手声優きっての注目株の一人だ。

 天崎がゲストとして登場した『オールマイトニッポン』で、彼の印象について山下が「まったり天然ボーイって感じ」と語る一方で、岡本がその潔癖ぶりを掘り下げており、まったりなだけでなく凝り性の一面もある様子。天崎本人は、「『ヒロアカ』に化けの皮剥がされちゃいました(笑)」と語っており、相手を煽り弱点や隙を探りつつ、「コピー」の個性を使った駆け引きで翻弄する物間と、陰謀ヒーロー・ペンタブラックとして、影に潜み相手を奇襲する黒色のダークな面を見事に演じている。一方で、常に拳藤をはじめ周りにツッコまれ、煽りの裏にB組への人一倍強い想いが見える物間、細谷佳正演じる常闇踏陰と黒色との「ソワ……」となる中二病なやり取りといった、愛される一面もあるのが二人の共通点だ。天﨑は「物間も含めて一番意識していることは、みんなヒーローに憧れてこの場に居るっていうところ」ともコメント。そんな二面性を見事に演じ切った表現力で、単純に「A組よりヴィランっぽい個性の持ち主が多いB組」ではなく、一段も二段も深いキャラクター性とドラマが窺える、アニメならではの良さが光る兼ね役となった。

3.骨抜柔造、そして飯田天哉の兄・天晴 芯の強い男を演じた北田理道

 飯田天哉や轟焦凍、鉄哲らが立て続けに新技や個性伸ばしの成果をこれでもかと見せ、正に「格上と限界は越える為に在る!!」というPlus Ultraなアツい展開も見どころだった第3試合。B組の推薦入学者の一人・骨抜柔造を演じたのは、これまでのシリーズでもプロヒーローのシンリンカムイなどを演じてきた北田理道だ。

 「柔化」の個性で足場を封じた骨抜に対し、「俺はもう!ずっと!フルスロットルだ!!」と、新技の「レシプロ・ターボ」で対抗する天哉だが、実はここにインサートされる回想シーン含め、以前から北田理道が先代インゲニウムである兄・天晴を演じている。ヒーロー殺し・ステインに再起不能の傷を負わされてしまうも、未だ天哉の理想のヒーロー像としてあり続ける真っ直ぐな兄を、力強く芯のあるキャラクターとして演じた。

 一方で兼ね役の骨抜は、「レシプロ・ターボ」の速さに敵わないと見るや戦法を変えて仲間のフォローに回る柔軟さを見せつつも、「自分のミスで友達が負けんのは嫌だ!」と、鉄哲と協力。気絶する直前まで力を振り絞り、単なる日和見主義な柔軟さというわけではなく、常に最善策を模索し続ける姿勢、仲間思いな姿、そして推薦組の意地を見せた。それぞれ立場は違いながらも、北田はそれぞれ芯の強さを実直に表現。天哉役の石川とのやり取りとの相乗効果で、よりドラマのアツさを盛り上げた。

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