向井理と横浜流星の行動がリンク 『着飾る恋には理由があって』真柴へ届かない駿の電話

『着飾る恋』真柴へ届かない駿の電話

 男泣き。全力疾走。祈るようにかける電話……。1人の女性を想う2人の男性の行動がリンクする。火曜ドラマ『着飾る恋には理由があって』(TBS系)第8話、駿(横浜流星)と葉山(向井理)のことだ。真柴(川口春奈)を大切にしたいと思いながらも、かつては葉山が、そして今度は駿が、「何もかも投げうってやらなきゃいけない時期」に直面する。

 愛情を持って育ててきた会社も、そしてかけがえのない存在であることに気づきつつあった真柴のことも、全て置いてトルコへと旅立った葉山。その理由は、未来へとつながる新たな投資という挑戦のためだった。

 そんな葉山の存在に刺激を受けて、駿もこれまでの生活をなげうつように新たな一歩を踏み出す。その理由は、他ならぬ真柴との未来のため。隣にいるのにふさわしい男になるための挑戦だ。駿が以前勤めていたレストラン『オルテンシア』。そのオーナー娘で、元恋人でもある葉菜(山本千尋)から、ピンチに陥った店を手伝ってほしいと声をかけられたのだ。

 部下たちに突然姿をくらませたことを声をつまらせて謝罪する葉山と、オーナーにかつて逃げ出すように店を辞めたことを涙ながらに頭を下げた駿。おそらく2人の行動は、意図して対照的に描かれたように思う。それは2人の魅力の間で揺れ動く真柴の気持ちを、視聴者も体感できるように。

 しかし、残念ながら今回は駿にとって分が悪い戦いとなる。葉山の健気な男泣きは、真柴の目の前で繰り広げられる。葉山の懸命な仕事ぶりも、その熱意の根底にある理由も直接聞くことができる。しかし、駿の職場は真柴の知らない過去の世界。しかも、その姿を支えるのは元恋人の葉菜というからなんだか落ち着かない。

 さらに、スマホを持ち歩かない駿のミニマリストな生活ぶりが仇に。隣の部屋に住んでいるから、いつでも繋がれると思っていた駿と真柴。だが、そこにお互いを思いやる会話があればこそ。香子(夏川結衣)と元夫・礼史(生瀬勝久)が同じ家に住みながら、会話がなくすれ違っていた日々が思い返される。

 何かに没頭する人は美しい。だが、ときとしてその心のゆとりのなさから、愛する人さえも寄せ付けない頑なさにも繋がってくる。葉山も礼史も、その時期を経たからこそ、自分自身を省みて、本当に大切にするべき人は誰なのか、どうしたら大事にできるのかを考えられるようになったのだろう。それが、大人の余裕と呼ばれる魅力になるのかもしれない。

 だが、駿にはまだその余裕が持つことができない。約束のレストランデートに間に合わないのではないかと連絡のない駿を心もとなく待ち続ける真柴のことよりも、目の前の鴨肉の柔らかさに必死になってしまうほどに、その視野は狭いのだ。

 とはいえ、真柴だってその余裕を知らない1人だ。駿の視点で見れば、葉山が現れたときからずっと自分の好きな人が、目の前で好きだった人と阿吽の呼吸で仕事をしている姿を見せつけられてきたのだから。「葉菜」と「マメシバ真柴」、呼び方ひとつに距離を感じてスネてしまうのも穏やかではない。

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