『あのキス』井浦新、「誰だ? お前」の豹変ぶりが凄い “一人二役”の変幻自在ぶり

『あのキス』井浦新の豹変ぶりが凄い

 そんな巴の恋人として、どんな時も味方でいると決めた桃地は、ある時スーパーゆめはなの清美(阿南敦子)がSNSに愚痴を書き連ねるところを見てしまう。アカウント名は“マディウォーター”。蟹釜ジョーの度が過ぎたアンチだった。“ゲキレツPeach”こと桃地はSNS上で猛反撃するが、思わず清美がいる前で口に出してしまい、気まずい雰囲気が流れる。しかし、実は清美自身も『SEIKAの空』の大ファンであり、蟹釜ジョーがどんどん有名になり遠い存在になってしまった寂しさから批判していたのだ。桃地は清美の複雑な思いをくみ取り、オタク仲間として関係を再構築する。

 普通の人間と天才。相反する人生を歩んできた巴と桃地は、キャベ次郎とモヤオたち勇者のように互いの足りないところを補いながら様々な奇跡を起こしてきた。巴の母・妙(岸本加世子)や高見沢をはじめとした『週刊少年マキシマム』の編集者、マサオの家族にも事情を理解してもらい、ほぼ以前と変わらない日常を送る2人。その一方でオジ巴は何かに急かされるように漫画を描き、ついには倒れてしまう。しかも、良い雰囲気になり、ついに桃地がキスしようとした瞬間、オジ巴はマサオに戻ってしまった。

 ついさっきまで“麻生フィルター”がかかっていた井浦が、「誰だ? お前」という一言で我々がよく見たいつもの井浦に変わる。あの可愛らしい雰囲気は何処へやら。第1話で転んだ桃地に舌打ちしたり、飛行機の中でふてぶてしい態度を取っていたマサオの冴えないおじさん感を一瞬にして取り戻す。次週第7話では、不安定に入れ替わるオジ巴とマサオを一人で演じる井浦の変幻自在ぶりが見ものとなるだろう。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。

■放送情報
『あのときキスしておけば』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15〜放送(一部地域で放送時間が異なる)
出演:松坂桃李、麻生久美子、井浦新、三浦翔平、岸本加世子、MEGUMI、猫背椿、六角慎司、阿南敦子、うらじぬの、角田貴志、藤枝喜輝、川瀬莉子、板倉武志、窪塚愛流
脚本:大石静
演出:本橋圭太、日暮謙、YukiSaito
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:貴島彩理(テレビ朝日)、本郷達也(MMJ)
制作:テレビ朝日、MMJ
(c)テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/anokiss/

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