オダギリジョー、爽やか登場から一転のおぞましさ 『まめ夫』小鳥遊はもう1人のとわ子?
毎週火曜21時からカンテレ・フジテレビ系で放送されているドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(以下、『まめ夫』)は、住宅建設会社しろくまハウジング社長の大豆田とわ子(松たか子)と3人の元夫の物語。
親友の綿来かごめ(市川実日子)が突然、亡くなってから1年。娘の唄(豊嶋花)が高校通学のために祖父の家に引っ越したため、とわ子は一人で暮らしていた。
一方、しろくまハウジングは、オーナーが外資系ファンド「マディソンパートナーズ」に会社の株を売却しようとしていることが明らかになる。
職人の会社であるしろくまが外資の傘下になれば、経営が合理化されしろくまハウジングらしさが失われ、社員がリストラされてしまう。なんとか外資による買収を防ごうとするとわ子だったが、営業部の松林カレン(高橋メアリージュン)が情報をマディソンパートナーズに流していたことを知り、停職処分を言い渡す。
『まめ夫』は複数のエピソードが同時進行し、意味ありげな台詞ややりとりが立て続けに登場するため、どこが本筋なのかなかなかわからない。今回の第7話では、唄の一人暮らし、日曜劇場のドラマのような外資による買収、三人目の元夫で弁護士の中村慎森(岡田将生)の変化、謎の男(オダギリジョー)ととわ子が急接近といった断片的なエピソードが展開されていくのだが、とわ子がいろんな人の健康や食事を心配していたことから、彼女が急死した綿来かごめのことを、今も引きずっていることが明らかになってくる。
本作が面白いのは、過剰な台詞や意味があるのかどうかわからないおしゃれなやりとりの背後に、脚本家の坂元裕二が本当に描きたいことを隠そうとしていることで、むしろ隠すことで一番知ってほしいことを視聴者に伝えようとしているのではないかとすら思えてくる。
それは先週の元夫たち三人と彼らに気がある女性たちとの合コンのようなやりとりの背後で、画面に登場しないとわ子の物語が進行し、最終的にかごめの突然の死という予想外の出来事が起こる展開に強く現れている。
だとすれば、本作が一番描きたかったことは、とわ子とかごめの友情と、彼女たち二人と親密な関係になった最初の元夫・田中八作(松田龍平)の三角関係なのだろうか。