岡田将生、アクの強さが光る 『大豆田とわ子と三人の元夫』で見える“性格派俳優”の現在地

岡田将生、“性格派俳優”の現在地

 放送中の『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)にて、ひねくれ者の個性派キャラクターを好演している岡田将生。主演の松たか子をはじめ、松田龍平、角田晃広ら手練の演技者陣がユニークなキャラクターに扮して並んでいる作品だが、岡田の輝き具合もハンパじゃない。話数を重ねるごとに、その輝きは強くなっている。

 岡田が演じているのは、主人公・大豆田とわ子(松たか子)の“三人の元夫”のうちの一人だ。つまり、とわ子を中心とする四角関係を描いた本作において、物語がどう転がっていくかを左右する、重要なカギを握る人物である。そんな彼の名前は中村慎森。職業は弁護士で、とわ子の三番目の元夫だ。とわ子が社長を務める「しろくまハウジング」の顧問弁護士を担当しているエリート弁護士ではあるものの、他者の言動に対していちいち否定的な態度でつっかかってみせるひねくれ者。どうにも気難しい性格の持ち主なのだ。しかし、周囲にどう思われているかを自覚していながらも、完全に開き直っているのが清々しい。むしろ彼の面倒くささというものは、一周回ってチャーミングである。

 慎森のようなひねくれ者が魅力的なのは、やはり名脚本家である坂元裕二のキャラクター造形の魔術に拠るところも大きいだろう。とはいえ慎森は、誰が演じても魅力的になるというものでももちろんない。彼のアクの強さは、場合によっては視聴者の受け入れ難いものになり得る可能性だってある。そこで重要なのが、やはり“誰が演じるのか”ということ。岡田が演じるからこそ、中村慎森という人物は魅力的な存在となっているのではないのだろうかと思うのだ。

 俳優業開始からすでに15年目に突入した岡田だが、彼はキャリア初期の頃から、この手のアクの強いキャラクターを演じることに果敢に挑戦してきた印象がある。それを最初に世間に見せつけたのが、『告白』(2010年)だ。学園が舞台の同作で、岡田は暑苦しい熱血教師に扮し、あまりにも“イタい”空回りっぷりを披露してくれた。狂気にも似た異常なまでの熱量や、それまでの作品で演じてきたキャラクターと比した際のその振り切れ具合の大きさは、いち“人気若手俳優”であった岡田が、同世代の者たちの中でも抜きん出た存在なのだと早くも示すことに成功した作品だったのではないかと思う。

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