内野聖陽が演じる耕治は“空回り系お父さん”? 『おかえりモネ』第2週は“父と娘”回に
森林組合の見習いとして働く永浦百音(清原果耶)は正式に職員として採用された。同僚たちに祝福される百音だが、そこに突然、父・耕治(内野聖陽)が「困ります!」と声をあげて現れる。NHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』が第2週初日を迎え、内野演じる耕治の娘が心配でしょうがないさまが印象的な回となった。
耕治はサヤカ(夏木マリ)に「やはり娘はうぢに戻したいと思っております」と打ち明ける。戸惑う百音に、耕治は「百音、悪がった!」と頭を下げ、「島にいろって俺があん時止めでやりゃあよがったんだよな……」と口にする。耕治の言い分からは、百音に一生懸命寄り添おうとする父親としての思いが感じられるが、実際には、耕治が思う娘の気持ちと本人の意思はズレている。「モネのごどは、お父さんが一番よく分がっていだはずなのに。なあ」と話す耕治の真剣な表情と、あっけにとられる百音の表情の差から、やや空回り気味な親の愛情が感じられる。サヤカから「娘の気持ちを自分が一番分がってるって言う父親ほど愚がなものはないよ」と静かに諭された後、耕治が見せたなんとも言えない切ない表情にはおかしみがあった。
百音は久しぶりに父とゆっくり話をする。なぜ漁師を継がなかったのか、という百音の問いに、耕治は自分が生きてきた時代のこと、自分が考えてきたことを真摯に伝えていく。「海が嫌いとか、漁師が嫌とかじゃなくて?」という百音の問いに、耕治は「嫌いなわげねえだろ」「俺はこっちだって思うもんがほかにあった。それだけだよ」と答えた。その返答には迷いがなかった。この後、耕治は百音に「音楽のごどは今どう思ってる?」と質問する。百音とのやりとりで、耕治が言葉を飾らずに答えてきたのは、大好きだった音楽から距離を置いた百音を心配し、彼女の思いを知りたかったからだと気づかされる。とはいえ第2週初日で耕治は、肝心なことは何一つ分かっていないままなのだが。
第2週の初日では、百音の妹・未知(蒔田彩珠)と百音の幼なじみ・及川亮(永瀬廉)のやりとりもSNSで話題に。未知は、亮を前にするとどことなく緊張しており、言葉もたどたどしい。そして、彼の言葉に微笑む未知を見ていると、彼女が亮に特別な思いを抱いていることが伝わってくる。亮と別れた後、小さなガッツポーズをする未知の姿はかわいらしかった。
このシーンは、耕治が「漁師なんて全然モテねえだろ?」と話した直後に映し出された。2人の娘を大切に思ってはいるものの、娘の心までは捉えきれていない父親の感覚を強調するかのような演出が面白かった。
■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK