『おかえりモネ』清原果耶、瞳で見せる悲しみと喜び 少しずつあらわになる震災の傷跡

『おかえりモネ』清原果耶、瞳で見せる悲しみと喜び 少しずつあらわになる震災の傷跡

 およそ半年にわたって放送される朝ドラにとっての第1週は、その作品の色を印象づける最も重要な週と言っても過言ではない。中でも週の山場となる第5話では、そのヒロインの人生を物語るシーンが決まって描かれる。『おちょやん』(NHK総合)では、奉公に出された千代(毎田暖乃)がテルヲ(トータス松本)に「うちは捨てられたんやない。うちがあんたらを捨てたんや」と言い放つ場面で、第1週の幕が下ろされた。

 『おかえりモネ』第1週「天気予報って未来がわかる?」を締めくくる第5話もまた、ヒロインである百音(清原果耶)の秘めていた心情があらわになった回だ。

 この第1週において物語に暗い影を落としているのが、第1回から印象的に差し込まれる百音が「この島を離れたい」と家族に告げるシーン。窓の外には雪がちらついている。宮城県気仙沼市の離島・亀島で生まれ育った百音は高校卒業を機に、内陸におよそ60キロのところにある登米市にやってきた。「2014年5月」と必要以上に表示される時間設定、朝岡(西島秀俊)の「3年前は大変だったでしょ?」という質問に「わたしはいませんでしたから」と答える百音。誰もが胸に抱くその予感が確信に変わるのがこの第5回である。

 朝岡が東京に帰る前にもう一つ見たいものがあると明朝、百音とサヤカ(夏木マリ)、翔洋(浜野謙太)と共に見に行くのが北上川の移流霧だ。それはまるで雲の中にいるかのような幻想的な光景。やがて朝日が差し込む北上川を見つめ、百音は気仙沼の港で見られた霧の「けあらし」を思い出す。百音はそのけあらしも、海から昇る朝日も大好きだった。けれど、あの日、海はその表情を変えていた。

「でも、あの日……。私、何もできなかった」

 そうつぶやく百音に朝岡たちから笑顔が消える。百音が浮かべる表情が自身の無力さを痛いほどに物語っていたからだ。ここでは高校時代にその光景を目の当たりにし涙を流す百音と北上川を見つめる今の百音が対照的に描かれる。驚くのは瞳をいっぱいに潤わせる清原果耶の表情。それはまるで表面張力でこぼれない、いっぱいに入れたコップの水のよう。悲しみでもない、何もできなかったことからの虚無がその表情からは感じ取れる。

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