『リコカツ』結婚と仕事の両立の難しさに直面 思わず途方に暮れてしまうラストに
咲の言うように今時「週末婚」「別居婚」夫婦も珍しくはないし、必ずしも一緒にひとつ屋根の下暮らすことだけが夫婦の形ではないかと思うが、“夫婦は一緒に住むもの、別々に暮らす時点で夫婦ではない”という紘一のような考えの人がいるのもなんとなくわかる。
この対極の考え方、立ち位置をすり合わせるにはどうすればいいのだろうか。今回ばかりは途方に暮れてしまうラストだった。
恋愛小説家・水無月を演じる白洲迅は、もう間もなく最終回を迎える『私の夫は冷凍庫に眠っている』(テレビ東京系)でも非常に謎めいた物語の鍵を握る人物を演じているが、本作でもいつも気怠そうでどこか冷めていて刹那的で、挑発的、満たされなさを抱えた売れっ子作家役を好演している。他人に立ち入らせない心理的な絶対領域、距離感のある排他的な部分と気高さを併せ持つ一匹狼感を言葉少なに虚な視線や物憂げな様子で表わしている。彼の中に芽生えているのであろう咲への興味、そして執着はなぜなのだろうか。おそらく咲は面倒な自分からも逃げないで向き合ってくれると本能的に嗅ぎ取っているのではないだろうか。確か水無月は初対面で咲に「愛とか信じちゃってる系?」というようなことを言っていたが、彼がそんな風に思うに至ったのはなぜなのだろうか。彼もまた気になる存在だ。
次週、紘一が水無月とも対面を果たすようだ。ついにリコカツも本格化する後半戦突入、紘一と咲の歩み寄りはもう見られないのだろうか。1人でいるときよりも制約や制限が生じるのは間違いないが、それでも結婚を続ける意味、夫婦でい続ける理由を彼らは見つけられるのか。2人の足掻きをしっかりと見守りたい。
■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter
■放送情報
金曜ドラマ『リコカツ』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:北川景子、永山瑛太、高橋光臣、白洲迅、大野いと、田辺桃子、中田クルミ、平岩紙、宮崎美子、酒向芳、三石琴乃、佐野史郎
脚本:泉澤陽子
演出:坪井敏雄ほか
プロデュース:植田博樹、吉藤芽衣
主題歌:米津玄師「Pale Blue」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS