『恋はDeepに』明らかになった倫太郎の“さがしもの”に涙 後半戦突入で海音と急接近!?
それ以外にも、これまで断片的に描かれてきた点と点が線で繋がった回となった。やはり、鴨居研究室・室長の鴨居正(橋本じゅん)は2年前に光太郎に依頼された通り「星ヶ浜海岸の水質事前調査」の結果を改ざんし、寄付金を得る見返りに便宜を図っていたことも明かされた。
鴨居を演じる橋本じゅんは、綾野剛・渡邊圭祐と共演した『MIU404』(TBS系)でベテラン機捜隊員・陣馬役を好演し、岡田健史演じる九重とのバディが話題となった。現在放送中の『桜の塔』(テレビ朝日系)では元警察官で現在は主人公の情報屋として暗躍する刈谷役を演じている。これまではベテランポジションだがまだまだ脂の乗った現役感のある「動」な役どころが続いていたのが、本作では学者、風貌としては白髪のおじいちゃんで「静」の印象の方が強い珍しい役柄を熱演している。本作への出演が発表された際の橋本のコメント「夢と現実の架け橋になれる様に、ピノキオのゼペットおじいちゃんの如く(笑)演じたい」にもある通り、確かに海岸でぐったり横たわる海音を保護し命を吹き返らせたのは紛れもない鴨居だ。“夢”と“現実”、“海の保全(理想)”と“研究室の維持(現実)”、“研究者としてあるべき姿”と“それを曲げてでも守りたいもの”の間で揺れ動く姿をとても丁寧に人間臭く見せてくれている。夢物語の要素も強い本作を地に足をつけたものにしているのは、この橋本演じる鴨居の“人間臭さ”によるところも大きいのかもしれない。
水質調査の改ざんでもう同じ過ちには二度と手を染めないと固く誓っていただろう鴨居が、それでもなお海音の論文を権威ある研究誌に載せるために再度嘘を重ねるしかなかった裏には、“人間の形姿でいられる時間にもタイムリミットがある海音の意志を引き継ぐため”という責任感に突き動かされてのことだろう。海音の“やらねばならないこと”に最大限協力したい、力を貸したい、それが前に犯してしまった自身の過ちの罪滅ぼしになると思ってのことかもしれない。鴨居が海音を見守る姿には既にとてつもない愛情が宿っていて、主人公2人が証明するより前になんなら、生物の種別を超えての愛情が存在し得ることを体現してくれているように思える。
そんな鴨居が海音の経歴を詐称したことで週刊誌の記者に目をつけられてしまう。どうか海音が“私がいるせいで皆に迷惑をかけてしまう……”そんな想いに駆られてしまいませんように。自分を責めることがありませんように。水質調査の件で謝る鴨居を見て、光太郎から邪魔をされながらもマリンリゾートの開発計画に奔走する倫太郎を見て、母親の事故死を自分のせいだと責め続ける倫太郎の懺悔を目の当たりにして、海音はきっともう嫌というほどわかっているはずだ。“完全なる悪”などこの世にそう多くはなく、ほとんどが“そうせざるを得なかった”何かしらの本人なりの正義や守りたいものがあってのことで、断罪することは難しいということを。
星ヶ浜水族館でのPRイベントで「星ヶ浜の今」のパートを鴨居研究室が、「未来」パートを蓮田トラストが担当し大盛況を収めたように、どうか星ヶ浜の海の保全とリゾート開発が、つまり海音と倫太郎の共生が叶いますように。
また、倫太郎の弟・榮太郎(渡邊圭祐)が何やら不穏な動きをしていたが、蓮田三兄弟唯一の癒しキャラかと思いきや、話はそう簡単ではないらしい。
次週、鴨居と引き離された海音が倫太郎と急接近するようだ。遂に互いにこれまで隠し通してきた秘密を明かし合った2人が結ばれるといいなと願いながらも、リミットがある、終わりを予感させる恋が進むのを見守るのには涙がつきものだ。どうかこの2人からもう誰も何も大切なものを奪うことがありませんように。後半戦突入の次話、切ないこの恋の行方に希望が見出せますように。
■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter
■放送情報
4月期水曜ドラマ『恋はDeepに』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:石原さとみ、綾野剛、今田美桜、大谷亮平、渡邊圭祐、橋本じゅん、藤森慎吾(オリエンタルラジオ)
脚本:徳尾浩司
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:枝見洋子、畠山直人、鈴木香織(AX-ON)、山口雅俊(ヒント)
演出:鈴木勇馬、岩本仁志、伊藤彰記
主題歌:back number「怪盗」(ユニバーサル シグマ)
(c)日本テレビ
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