『ジオストーム』は王道のパニック映画“ではない” 過去の同ジャンル名作を踏まえた挑戦

『ジオストーム』の本質は冒険サスペンス

 映画『ジオストーム』がフジテレビ系土曜プレミアムにて5月15日に放送されます。『ジオストーム』の“ジオ”とは“地球”“大地”みたいな意味。ストームは嵐ですから、このタイトルの意味するところは地球規模の大嵐ということです。物語は超巨大嵐、ジオストームの危機と戦う人々を描いています。いわゆるパニック映画、デザスター映画の1つなのですが、正統派のパニック映画か?と言われるとそうでもない。ちょっと“ひねった”物語なのです。

 近未来、地球は異常気候に見舞われます。そこで人類は気象をコントロールする人工衛星と宇宙ステーションのシステムを作り上げこの危機を乗り越えます。この気象システムの名前はダッチボーイ(オランダの子)というのですが、これは僕らが子どもの頃よく聞かされた、“堤防の穴を塞いだオランダの少年”の逸話に由来しているんですね。

 さて、これがメインストーリーと思いきや、これは『スター・ウォーズ』における、あの冒頭の黄色いテロップぐらいの意味しかありません(笑)。なんと! 映画のオープニング5分ぐらいでこれらの要素が“基本設定”としてあっさり語られるのです。今までのパニック映画だったら“異常気象が起こって、それを食い止めるためこのシステムを命がけ立ち上げる”までを2時間ぐらいかけて描きますよね。しかし本作のメインストーリーは「しばらく人類を守っていたこのシステムが突然故障し、今度はこれらが引き金となって異常気象が起こる。さあ大変」です。そしてこのシステムトラブルの行き着く先がジオストームの発生というわけです。なのでこのシステムを作った男が人工衛星等を正常化させるために宇宙ステーションへと向かいます。この役をジェラルド・バトラーが演じています。

 一方彼の弟はこの事故の裏に隠された陰謀をしり黒幕を追い詰めます。兄=宇宙、弟=地上でのスリリングな戦いが展開されるのです。そう、映画『ジオストーム』は、途中途中で、いくつかのパニック映画らしい見せ場を盛り込みながらも、その本質はテクノロジーを使って異常気象を起こそうとする陰謀と戦う冒険サスペンスなのです。

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