『珈琲いかがでしょう』第2話で描かれた“夢” 中村倫也が教えてくれる人生の“甘さ”と“苦味”

『珈琲いかがでしょう』人生の甘さと苦味

「面白いくらい全部パクリだね」

「でも、パクリでもこうやって形にできてることがすごいと思うんだけど」

 中村倫也主演のドラマ『珈琲いかがでしょう』(テレビ東京系)第2話では、2杯の夢見る珈琲が描かれた。「キラキラ珈琲」と「だめになった珈琲」。「なにかしらになりたい」と突っ走る甘さも、「選ばれし者が持っているアレが自分にはなかった」と痛感する挫折という名の苦味も……実はおいしい人生を構成する必要なエッセンスなのだと、青山(中村倫也)は珈琲を通じて教えてくれる。

「なにかしらになる」には「なにか」をしっかりしないと

 青山の移動式珈琲店『タコ珈琲』は神出鬼没だ。追っ手から逃れるために、同じ場所には長居しないことにしているのだろうが、結果として青山の珈琲を求めている人のところに現れることになる。

 「キラキラ珈琲」を求めていたのは、東京に憧れる女子高生・大門雅(山田杏奈)。トレードマークのピンクの髪が、のどかな田舎でひときわ目立つ存在だ。“きっと東京に行けば、テレビとかに出られる何者かになれるはず”。そんな夢を見ていたころ、青山が東京へ向かうことを知り、『タコ珈琲』トラックの中に潜り込むのだった。

 無謀で、無知で、無計画な雅の行動。でも、そこには絶対にこの現状を変えたいという無垢な情熱がある。そんな雅の想いに応えるべく、青山はピンク色が入ったアレンジ珈琲“ロサ・メヒカーノ”を出す。可愛くて、ふわふわで、キラキラで……まさに雅が憧れる東京のイメージそのものな珈琲。

 だが、雅は東京で大きな挫折を経験する。SNSで知り合った礼(臼田あさ美)を頼ったものの、徐々に礼の口からは若者の夢を摘むような発言が。「そんなに甘いところじゃないよ、東京は」と、雅を陥れる罠まで仕組まれていた。雅の父に頼まれた青山の機転によって、大きな危機を回避することができた雅。青山が作った“ロサ・メヒカーノ”が美味しかったのは、基本となる珈琲が美味しかったから。見た目のかわいさだけではなく、根本がしっかりしているからなのだと実感するのだった。

 雅のいいところは、その挫折を礼のせいにするわけでもなく、東京を恨むのでもなく、自分の根っこがちゃんとしていなかったのだと思えたところ。そのまっすぐさこそ、雅の「なにか」となるに違いない。東京リベンジに燃える雅を見つめて、青山はそっと微笑むのだった。

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