杉咲花×東野絢香に戻った笑顔 『おちょやん』現在にも響く“正しいに変わるように”の心

杉咲花×東野絢香に戻った笑顔 『おちょやん』現在にも響く“正しいに変わるように”の心

 『おちょやん』(NHK総合)第18週「うちの原点だす」で描かれるのは、大阪大空襲から終戦までの、暗いトンネルで微かな光を頼りに必死に前に進むかのような物語だ。

 空襲で亡くなった菊(いしのようこ)と福松(岡嶋秀昭)、戦死公報による福助(井上拓哉)と百久利(坂口涼太郎)の訃報。目を耳を塞ぎたくなる現実を前に、千代(杉咲花)の心を太い柱の如く支えていたのは芝居だった。

 「非常時に不謹慎」「役者っていうのはお気楽でよろしいな」「世の中の役に立つことをしてみいな」とまるで役者が非国民かのように扱われてもなお、千代は一人芝居を演じ続ける。人気のない竹藪で、時には深夜に猫を相手に小声でセリフを言いながら。そうまでして芝居を続けるのは、日本が沈んだ時だからこそ役者がみんなを励まさなければいけないという信念。そして、千代にとっては大好きな芝居が続けられなくなるという恐怖を必死に忘れさせる意味合いもあったはずだ。

 終戦の日に広がった青空の下、自身の原点である『人形の家』のセリフを誰の目も憚れることなく大声で喋り始める千代。「私はただ、しようと思うことはぜひしなくちゃならないと思っているばかりです」。そこには大好きな芝居をこれからもしていたいという抑えきれない喜びがあった。

 一平(成田凌)は生き残っていた劇団員たちと共に、劇場が焼けてしまった道頓堀を離れ、日本中の人を笑わすために全国を巡業することを決めていた。「ちょっとでも正しいに変わるようにしんどうても前に進まなあかん。それこそが喜劇やろ」ーー迷いを見せる一平を励ます千代のこの言葉は、令和に生きる我々の心にも力強く響く一言である。

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