1都3県の緊急事態宣言続行? エヴァ×新型コロナ、最終決戦勃発

 先週末は『花束みたいな恋をした』が土日2日間で動員12万8000人、興収1億7600万円をあげて、前回の本コラムでも予想したように、これで5週連続で1位を獲得することとなった。昨日(3月3日水曜日)の時点で興収は23億円を突破。もしこのままの勢いが続いて最終興収30億円を超えるようなことがあれば、日本映画の非メジャー配給の実写作品としては2018年の『万引き家族』と『カメラを止めるな!』以来の快挙となる。片や日本映画としては21年ぶりのカンヌ映画祭パルムドール受賞作、片や日本中で社会現象を巻き起こした世紀のサプライズヒット作。『花束みたいな恋をした』の興行を取り巻く熱は、もはやそんなスケールに近づきつつある。

 しかも、『花束みたいな恋をした』がすごいのは、公開日の1月29日(金)から現在までその公開期間すべてが、1都3県の緊急事態宣言(大阪など6府県は2月末で解除)の状況下でここまでの記録を積み上げていることだ。しかし、あらかじめ「社会現象化」が宿命とされている作品となると、同じようにはいかない。他でもない、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のことだ。

 本コラムで再三触れてきたように、東宝、東映、カラーの3社共同配給で当初2020年6月27日に公開予定だった『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、最初の緊急事態宣言中の2020年4月17日に最初の公開延期を発表。その後、一旦は新たな公開日が2021年1月23日になると発表されたが、今度は二度目の緊急事態宣言を受けて2021年1月14日に二度目の公開延期を発表。この時は公開予定日から10日を切っていたこともあって、各劇場の編成や、地上波を含む大々的な先行プロモーションに多大な影響が生じることにもなった。

 このように、ここまで『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は政府による緊急事態宣言に翻弄され続けてきたわけだが、先週金曜日、2月26日午後9時に前代未聞のニュースが駆け巡った。一度の延長を経て、当初3月7日までとされていた1都3県の緊急事態宣言が明ける見込みだった3月8日に『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開されることが急転直下で発表されたのだ。ホームページには「現時点で緊急事態宣言発出中の地域がある状態ではございますが、公開にあたり劇場などでの準備が必要となるため、本日発表の運びとなりました。ご理解賜れますと幸甚に存じます」と記されていたが、実際、その時点で3月8日以降の編成を終えていた劇場も多く、一部の劇場で既に発表されていたIMAX版『ロード・オブ・ザ・リング』の再公開が急遽上映スケジュールから消えるなどの混乱もあった。

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