NYの映画館再開、マーベルの新スケジュール確定 遂にハリウッドはトンネルを抜ける?

遂にハリウッドはトンネルを抜ける?

 先週末の動員ランキングは、『花束みたいな恋をした』が動員13万4000人、興収1億8800万円をあげて連続1位記録を4週に伸ばした。今週のウィークデイも2位以下の作品の2倍以上のペースで数字を積み上げていて、本日公開の新作も小規模公開作品が中心。1月末の公開時に初登場1位となった時点で配給体制やスクリーン数などをふまえると大快挙だったわけだが、興収20億円突破は確実、まさかの2月1カ月間通じての首位独走の可能性も高まってきた。

 『花束みたいな恋をした』のここまでの大ヒットはすべての映画関係者にとっても想定外であったはず。振り返ってみれば、昨年10月から『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が15週連続1位、そこにきて今回の『花束みたいな恋をした』の4週連続1位と、約5カ月の間たったの2作品に興収1位が独占(動員では『銀魂 THE FINAL』が1月第二週に1週のみ1位に立っている)されているというこの状況は、やはり異常事態だ。さらに異常なのは、これで4週連続でトップ10すべての作品が日本映画であること。そんなことは前代未聞の事態だ。

 もちろん、外国映画の新作が公開されていないわけではない。しかし、そのほとんどの作品は小規模公開のアートハウス系作品や、本国では2020年3月以前に公開されていた非メジャーのお蔵出し的な作品。熱心な映画ファンの中にはそれでもそれなりに充実した映画館ライフを送っている人もいるかもしれないが、ただでさえ年に1、2本しか映画館で映画を観ない一般層(それでも全然マシで、日本の人口で最も多くの比率を占めているのは年に1本も映画館で映画を観ない層)と映画ファンの間にある溝は大きかったわけだが、このままの状況が続くとさらに広がっていくばかりだ(付け加えるなら、実質的に現在その溝をなんとか埋めているものがあるとしたら、NetflixやAmazonなどのストリーミングサービスだろう)。

 しかし、アメリカの映画界にもようやく大きな動きが出てきた。昨年3月以来ずっと映画館が閉鎖されてきたニューヨーク市が、3月5日から映画館の再開を許可すると発表したのだ。ガイドラインはキャパ25%、1スクリーン当たり50人までというもの。現在、米国最大のシネコンチェーンAMCはそのキャパを50%に増やすように求めている(参考:NY Gov. Andrew Cuomo Gives Greenlight To New York City Cinema Reopening March 5 At Reduced Capacity|Deadline)。

 一方、パンデミックによる映画館の閉鎖という状況も追い風にして、米国内で想定を大きく上回るペースでディズニープラスの契約数を伸ばしているディズニーは、現在新エピソード毎週配信中の『ワンダヴィジョン』、3月19日から配信開始される『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に続く、マーベル・シネマティック・ユニバース3作目のテレビシリーズ『ロキ』の配信開始日が6月11日になると正式に発表した。さらに、12月17日全米公開予定の『スパイダーマン』3作目の正式タイトル(『Spider-Man: No Way Home(原題)』)と劇中シーンの写真も発表。「なんだ、ディズニープラスや12月公開作品の話か」と思う人もいるかもしれないが、この1年間「延期」ばかりがアナウンスされてきた中、このタイミングでそれらの発表があったことの意味は大きい。

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