『ゆるキャン△』は“さみしさ”の醍醐味を教えてくれる 心の寒さに寄り添う温もり

 一方、今度はなでしこがリンの影響でソロキャンに興味を示し、実際に一人で計画を実行するのが2期の主な内容。きっかけは、リンの「ソロキャンはさみしさも楽しむもの」という言葉だった。そこで思い出すのは『ゆるキャン△』2期のキャッチコピー。「朝」と「夜」をイメージしたティザービジュアルには、それぞれ「たのしいも、さみしい」(朝)「さみしいも、たのしい」(夜)という言葉が添えられている。

 「たのしいも、さみしい」は、どちらかといえばグルキャンのイメージ。みんなでキャンプ飯を囲んだり、広大な土地ではしゃいだりした後、眠りにつき、朝が来た時に感じる「もう終わりなんだな」と思うさみしさ。そして、「さみしいも、たのしい」には一人の夜に感じる一抹の寂しさと、それでも旅先での食事や景色を眺めながら物思いに耽る時間を存分に味わえるソロキャンの魅力が表れているのだ。

 リンはクリキャンで前者の気持ちを知り、その後大晦日に山梨からなでしこの地元・静岡に向かい、久しぶりのソロキャンを楽しみ後者の魅力を再認識した。なでしこもまた、リンから知識を借りて入念に準備を行い、第7話~8話でソロキャンに挑む。ソロキャンといえども持ち前の明るさで現地のキャンパーと交流するが、夜景を眺めながら感じたのはやはり“さみしさ”だった。

 けれど、けっしてそのさみしさは嫌なものではない。大好きな人たちが今何をしているかを想像したり、誰かと一緒に楽しんだ時間を振り返り懐かしむ、温かいさみしさ。なでしこが感じたその気持ちは、コロナ禍に外出自粛を余儀なくされている私たちの想いとも少し重なるところがある。リンがグルキャンを通してソロキャンの魅力を再認識したように、一人の時間もやっぱりいいなと思った人もいれば、なでしこのように一人の時間もたまには必要だけど、また誰かと楽しい時間を共有したいなと思った人もいるだろう。

 目立った事件もなければ、大きく心揺さぶられるような感動的なエピソードもない。それでもなでしこがバイトでお金を貯めて、お姉ちゃんにプレゼントした携帯用カイロのようにじんわりと心の寒さに寄り添って温めてくれる。それが『ゆるキャン△』だ。

 緊急事態宣言が解除されても、まだまだ油断はできない状況が続くだろう。感染リスクを抑えて少しでも旅行気分を味わうためにキャンプに行ってみたいと思っている人も、とはいえまだ外出は怖いなと不安に思っている人も、『ゆるキャン△』を観て物思いに耽けながら「さみしいも、たのしい」を味わってみてはいかがだろうか。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■作品情報
『ゆるキャン△ SEASON2』
AT-X、TOKYO MX、BS11ほかにて放送中
AT-X:毎週木曜23:00~
TOKYO MX:毎週木曜23:30~
BS11:毎週木曜23:30~
声の出演:花守ゆみり、東山奈央、原紗友里、豊崎愛生、高橋李依、黒沢ともよ、井上麻里奈、伊藤静、松田利冴、大塚明夫ほか
原作:あfろ(芳文社『COMIC FUZ』掲載)
監督:京極義昭
シリーズ構成:田中仁
キャラクターデザイン:佐々木睦美
プロップデザイン:山岡奈保子、井本美穂、堤谷典子
メカデザイン:遠藤大輔 丸尾一
色彩設計:水野多恵子(スタジオ・ロード)
美術監督:海野よしみ(プロダクション・アイ)
撮影監督:田中博章(スタジオトゥインクル)
音響監督:高寺たけし
音響制作:HALF H・P STUDIO
音楽:立山秋航
音楽プロデューサー:村上純
音楽制作:MAGES.
企画・プロデュース:堀田将市
制作プロデュース:DeNAコンテンツ企画部
アニメーションプロデューサー:丸亮二
アニメーション制作:C-Station
製作:野外活動委員会
(c)あfろ・芳文社/野外活動委員会
公式サイト:https://yurucamp.jp/second/

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アニメシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる