高畑充希演じる真空が抱えていた悩みとは 『にじいろカルテ』が示す病への“答え”

『にじいろカルテ』が示す病への“答え”

 真空(高畑充希)が患っている多発性筋炎は自己免疫によって筋肉に炎症が起き、筋萎縮が進行していくという病であり、進行状況や症状などについても個人差があり、いまだにはっきりとした原因も解明されていない難病だ。それに罹ったこと、そして東京の大病院を辞めて虹ノ村にいることを母親にいつ話すべきかと悩む真空の姿を描いた2月25日放送の『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)第6話。ここまで村人や診療所の面々にフォーカスを当てたエピソードが描かれ、一周回って主人公にその順番が回ってくる。それだけで、このドラマのひとつの“答え”が出される回なのだと予感することができよう。

 定期的に行われる、雪乃(安達祐実)の記憶確認の診察の日、虹ノ村診療所に嵐(水野美紀)の娘・日向(中野翠咲)がひとりで泥だらけになって飛び込んでくる。異変に気付いた真空たちは、日向が持っていた嵐のスマートフォンに映る動画を見て、すぐさま往診に向かう。無事に嵐と日出夫(泉谷しげる)は発熱のみで大事には至らなかったものの、往診の途中で自分の手の異変に気が付いた真空は、診療所が混雑した日の夜に突然倒れ込んでしまう。そして頭に過ぎったのは、自分が医者になると志した幼い日の出来事であった。

 父親の死をきっかけに、医者を志すことを決めた真空。そして、自分が病気になったことを女手一つで育ててくれた母親が知ったら責任を感じてすべてを投げ出してしまうのではないかと考え、なかなか話ができずにいるのだと、朔(井浦新)と太陽(北村匠海)に打ち明けるのである。ひとりの“患者”としてその場所にいる真空に太陽がかける「心配かけたくないとか責任を感じすぎない方がいい。そのほうがいい」の言葉。また真空自身が、病気をきっかけにした出会いや運命の巡り合わせをもって呟く「病気って面白い」という言葉。中盤の第6話にして、このドラマの描こうとしている本質が明示されたと言ってもいいだろう。

 病に倒れた真空が診療所を休んだ夜に、村人たちが集まり真空の寝ている屋根裏部屋から見える場所で、このドラマのひとつのテーマソングともいえる童謡「にじ」を歌うという、今回のハイライトと呼べるシーン。これはまさに、マーク・ハーマン監督の『ブラス!』での有名な、病室の窓の下で「ダニーボーイ」を演奏するシーンを彷彿とさせるものがある。病気は辛くて悲しいことばかりじゃないという、先述した“本質”を裏付けているのは、心を明るい方向へ導いてくれる歌の力であり、そして人のあたたかさであるというわけだ。

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