『青のSP』藤原竜也演じる隆平がブラックな職場環境を斬る 『逃げ恥』に通じる搾取の構造

『青のSP』ブラック職場を藤原竜也が斬る

 隆平の発言は暗に「生徒が上ではない」ということも言っている。それどころか、教師や保護者、ましてや校長も上ではない。保護者に対して責任はあるが、だからといって何でも従う必要もない。「教育=奉仕」というドグマを否定しているとも言える。生きがいややりがいという言葉に潜む、人間を道具として見る思想にノーを突きつけているように感じた。

 教師に「先生」という敬称を付けるのは、教えを請う姿勢と互いを尊重するためだが、先生と呼ばれるために無理を重ねたり、ふさわしい人間でなければと自分を殺すのは本末転倒だ。それでも「先生」として日々教壇に立ち、教え子を導いていかなくてはならない。あらためて、矛盾を背負いながら奮闘する教師は尊い職業だと思う。

 柴田の芝居が功を奏し、新津の負担は軽減されたが、もし柴田の嘘が見破られていたらと思うと複雑な心境になる。ここまで大ごとにならなければ、教師たちも新津を見殺しにしていたのではないか。そうではないと信じたいが、誰もが自分のことで精いっぱいで、隣席の相手すら顧みる余裕のない職場では、無言のうちに犠牲になっている人もいるはずだ。また、これほどあからさまではない形で、陰湿な方法で追い詰められているパターンもあるだろう。新津には柴田がいた。それは幸運なことだった。

 新津を演じた須賀健太。子役時代に『ALWAYS 三丁目の夕日』の淳之介少年を演じるなど、コンスタントに出演を重ねてきた。『江戸前の旬』(BSテレ東)の一本気な寿司職人と180度違う内気な教師役で、引き出しの多さを印象付けた。もっと出番が増えてほしい俳優の1人だ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:藤原竜也、真木よう子、山田裕貴、泉澤祐希、たくませいこ、渋谷謙人、智順、兒玉宣勝、金沢雅美、音尾琢真、石井正則、須賀健太、遠藤雄弥、明日海りお、峯村リエ、升毅、山口紗弥加、高橋克実
脚本:大石哲也、山岡潤平、小島聡一郎
音楽:菅野祐悟
プロデューサー:河西秀幸、国本雅広、高橋史典
演出:国本雅広、白川士、高橋貴司
制作:カンテレ、ケイファクトリー
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/schoolpolice/
公式Twitter:https://twitter.com/bluesp_tue21
公式Instagram:https://www.instagram.com/bluesp.tue21/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる