『天国と地獄』溝端淳平演じる八巻が大奮闘 日高と奄美大島の繋がりとは?

『天国と地獄』溝端淳平演じる八巻が大奮闘

そして起こった新たな殺人事件

 革手袋のピンチから脱し、ホッと一息ついていた彩子のもとに、1通の動画ファイルが日高から届く。そこには、彩子の姿で殺人を犯している日高が映し出される。あまりのショックに言葉が出ない彩子。体と魂の入れ替わりがもとに戻ったら、八巻と危ない橋を渡りながら手に入れた革手袋を物証に、日高を逮捕するはずだった。いわば、その張り合いこそが今の彩子の心を支える唯一の願いとも言えるものだった。だが、彩子の体で殺人を犯してしまったら、堂々と日高を逮捕することも叶わない。「あなたは私で私はあなたです。どうか、お忘れなく」と微笑む日高の言葉がさらに意味深に響く。

 しかし、そんな日高も、何かに操られているのではないかという素振りを見せていたことを、私たち視聴者は知っている。新月の夜、赤いスプレーで壁に書かれた「4」の文字。それを見つけた日高は「そうですか。終わりじゃなかったんですか」と言いながら、震えるように息をもらし、耳たぶを触る。そして時を同じくして、彩子の同居人・陸(柄本佑)のもとに便利屋の仕事が入る。それは、偶然か必然か、その「4」の文字を消すこと。日高の飲み込む水と、陸のぶちまける洗浄液。このリンクする液体は何を洗い流そうとしているのだろうか。

 新たな事件は、目黒区東原町で起こる。日高の指示で始末するように言われた“殺人リスト”のような書類のなかにも、確かに目黒区東原町の住所があった。そのリストによると、被害者の名前は四方忠良。壁に書かれた赤い「4」は、四方を殺人せよという指示なのだろうか。「4」を見た瞬間に漫画『暗闇の清掃人Φ』の映像がフラッシュバックしていたところを見ると、何か催眠のようなものにかけられている可能性すら感じさせる。

 日高は、動画ファイルの中で「ゴルフ場なんか作って大儲けした人なんでゴルフボールみたいに頭をデコボコにしちゃいたいと思いまーす」と話していた。前回のレジャー事業を営む経営者だった田所の遺体も、パチンコ玉を口の中に入れられた姿が特徴的だった。暗闇に包まれる新月の夜に、金儲けに目がくらんだ人たちの命を奪い、社会の清掃をしていくということだろうか。田所、四方を含め、先のリストには計10名の名前が並んでいた。やはり彩子は、あのリストを控えておくべきだったのだ。そこから日高の謎に近づけたかもしれないのだから。

 それにしても日高の動画は見ている視聴者としても実にショッキングだった。血しぶきを浴びながら、残酷な振る舞いを見せる姿が衝撃的だったのはもちろん、どこかで頼りにはしていた部分があったのかもしれない。そして、自分の体でそんなことはしないと、どこかで日高のことを信じていたといってもいい。なんならまだ被害者の顔まで見えていないという一縷の望みをかけて、フェイク動画であってほしいとさえ願ってしまいそうになる。これがサイコパス特有の人心掌握のうまさなのだろうか。

 入れ替わりに気づいた八巻。刑事魂で真実に近づいていく河原。ゴミの中から血の着いた布を見つけて彩子を怪しがる陸。彼らを生かしていく日高の狙いとは。そして、今度も彩子の体で殺人事件は繰り返されてしまうのだろうか。全く考えが読めない日高に、彩子以上に私たち視聴者もすっかり翻弄されている。

■放送情報
日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:綾瀬はるか、高橋一生、柄本佑、溝端淳平、中村ゆり、迫田孝也、林泰文、野間口徹、吉見一豊、馬場徹、谷恭輔、岸井ゆきの、木場勝己、北村一輝
脚本:森下佳子
編成・プロデュース:渡瀬暁彦
プロデュース:中島啓介
演出:平川雄一朗、青山貴洋、松木彩
製作著作:TBS
(c)TBS

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