『天国と地獄』第2話で面白さが加速 柄本佑演じる陸の言動の真意とは?

『天国と地獄』陸の言動の真意とは?

 日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』(TBS系)の面白さが、第2話で一気に加速した。魂が入れ替わってしまった彩子(綾瀬はるか)と日高(高橋一生)。刑事として容疑者の日高を追い詰めていくはずだったが、現実は逆に日高として追われる側になってしまった彩子は、やむなく日高の指示に従って隠蔽作業に取り掛かることに……。

※<>内は入れ替わった人物名。

高橋一生のヒロインっぷりに拍手

 やはり視聴者を夢中にさせているのは、彩子の魂を宿した高橋一生のチャーミングな演技だ。日高の指示で持ち出すことになった洗面台下のダンボール箱を開き、「これサンプルQじゃん」「これΦじゃん」「同一犯じゃん」「これ、絶対あいつじゃん。ていうか私、捕まったら絶対死刑じゃん!」のセリフのテンポの良さったら、たまらない。

 人生がかかった大ピンチにも関わらず、いやだからこそなのか、動揺しまくりで、まるでスマートにいかない彩子が、なんとも人間味溢れていて可愛らしい。魂が入れ替わる前の“なんとしても手柄を立てなければ”と肩に力が入りまくっていたころよりも、グッと感情移入させられる、まさにヒロインたる佇まいだ。

 一方、綾瀬演じる日高の表情も、ゾッとするほどクールで凛々しい。テンヤワンヤな彩子さえもコントロールし、至って冷静に物事を有利に進めていく。最初から彩子と魂が入れ替わったら、成し遂げたいことがあったかのように、慣れた手つきで化粧をしていく。この落ち着きはサイコパスゆえのものなのか。それとも魂の入れ替わりが初めてではないということだろうか。もしかして日高は入れ替わる方法を知っているのではないか……と、視聴者の関心をグイグイと引っ張っていく。

八巻の気づきは、お手柄か? リードか?

 第2話で最も盛り上がったのは、彩子の後輩・八巻(溝端淳平)が魂の入れ替わりに気づいてくれたシーンだろう。突然、敬語になり、化粧をし、耳を触るという見慣れない癖が出る彩子<日高>に違和感を持った八巻は、日高のマンションへ。そこで、2人だけが知る情報のやりとりで、彩子の本人認証を行う。誰にも本当のことを話せず、1人追い詰められた彩子にとって、その気付きがどれほどの救いだったことか。「今までで一番お手柄だよ」とインターホン越しに八巻の頭を撫で、涙を流す彩子<日高>。

 魂が入れ替わっても気づくことができるほどバディの信頼関係に胸を熱くすると同時に、この八巻の気づきが日高によるリードである可能性も忘れないでおきたい。彩子に寄せることなく性格も外見もガラリと変え、その変化に気づいた者に繰り返し「路線変更です」と煙に巻いていくスタイルは、アリバイのない時間を「散歩です」で押し切ろうとしていた姿と重なり、まるで周囲を試しているかのようにも見える。

 そして「月は太陽に、太陽は月になるはずだったんですよ」という言葉も、八巻にわざわざする理由がない。魂の入れ替わりに気づくためのヒントだった、という見方もできなくもないのだ。日高のナッツアレルギーの体質を利用して、彩子のたくましさを試すような言動を見せていた日高のこと。ヒントをちらつかせて、どれだけ八巻ができる人物かを見極めたのかと勘ぐりたくなる。

 もちろん、これはあくまでも可能性の一つ。八巻はボストン時代に日高がシリアルキラーの容疑者であるという有力情報を掴んだ優秀な刑事だ……ん? いや、この情報はどうして気づくことができたのか……? もしかして、そこにもリードがあったのか? それとも……なんて、深読みして楽しめる要素がこのドラマにはたくさん散りばめられている。もちろん、そうした気づきそのものも脚本家・森下佳子によるリードかもしれないと思うと、さらにワクワクしてくる。今クールは思う存分、手のひらで踊らされたい気分だ。

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