綾瀬はるかと高橋一生でなければ成り立たない!? 『天国と地獄』で“入れ替わり”の名演技

綾瀬はるかと高橋一生でなければ成り立たない!? 『天国と地獄』で“入れ替わり”の名演技

 日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』(TBS系)がいよいよ始まった。この物語のキーは、なんといっても女刑事・望月彩子(綾瀬はるか)とサイコパス殺人鬼・日高陽斗(高橋一生)の魂の入れ替わりだ。

 “どんなタイミングで入れ替わるのか”と楽しみにしている視聴者を引きつけ続けて約1時間、ようやく2人の魂が入れ替わる。それは彩子と警察がやっとのことで日高の捜査令状を取ることができたタイミング。つまり刑事の彩子が自らの手で追い詰めたと同時に、容疑者の日高と入れ替わってしまうという皮肉な結果だ。

彩子の正義感の暴走を、日高は狙った!?

 物語の始まりは、1件の猟奇殺人。レジャー事業会社を経営する社長が、丸い石のような凶器で殴打されて殺害された。その口には大量のパチンコ玉。そして、左手には「Φ」の血文字。その様子を見たベテラン刑事・河原(北村一輝)は、3年前に起きた官僚が同じような手口で殺されたことを思い出し、シリアルキラーによる連続殺人だと主張する。

 男社会が根深い警察という世界で、一度大きなヘマをしたこともあり、肩身の狭い思いをしていた彩子。この事件で手柄を上げれば、名誉挽回のチャンスと意気込む。現場に足を運んだ彩子は妙な清潔感に気づき、後輩の八巻(溝端淳平)と独自に進めることに。

 清掃業のアルバイト経験のある同居人・渡辺陸(柄本佑)のアドバイスにより、殺害現場が特殊な洗浄剤で拭き上げられていたことが判明。その製造元が日高の経営するコ・アース社であり、市販される前の試作品であったことを突き止める。

 日高に任意で話を聞きに行くと、最初は被害者を全く知らない様子で話していたのに、「一人暮らしなのによく見つかりましたね」と被害者と面識がなければ知らないような情報をこぼす。加えて、犯行時刻に「3時間も1人で散歩をしていた」と、実に怪しい証言をする日高に、彩子はますます疑いの眼差しを向けるのだった。

 さらに、後輩・八巻のお手柄により日高がボストンの研究者時代にも、連続殺人事件の容疑をかけられていたとわかる。なんとか河原よりも先に捜査令状を取れるだけの物証を揃えたい彩子は八巻に上への報告を口止めし単独行動を続ける。しかし、警察は組織力で悪と対抗するもの。捜査会議に遅れた彩子を待ちきれず、八巻はボストン時代の日高の情報をやむなく報告してしまう。当然、彩子は怒り心頭だが、その恨みがましい顔を、河原が一喝。

 河原は、セクハラ発言もあれば、多少の違法捜査もいとわない強引なタイプ。だが、悪を捕まえるとう正義はブレていない。そんな河原から見れば、彩子の正義感は自分が評価されるためだけもの。彩子の「べき論」はいつの間にか、自分は正しく評価されるべきだという論理にすり替わっていたのだった。

 だが、彩子はそれでも止まらない。正義感というのは、自らを正しいと思い込むほどに視野を狭くする諸刃の剣。鑑識から「パチンコ玉のひとつからカーキの革手袋の組織が見つかった」と聞くと、いても立ってもいられず1人で日高に立ち向かうのだった。

 思わず日高の手袋に向く彩子の視線。それを見た日高は歩道橋から走るトラックの荷台に向けてわざと落としてみせる。これで証拠はなくなった。その余裕のある表情はまるで彩子がそろそろ自分を追い詰めに来るだろうと予想していたかのよう。いや、この美しい満月の夜に来るように仕向けて歩道橋の上で待っていたかのようにも見えるのだ。

 考えてみれば、あれだけの知識がありながら、あえて自社製品の洗浄剤を使うのも、そしてビニールで身を包みながらあえて革手袋を使ったのも、あやふやなアリバイ証言をしてみせたのも、全て計算のようにも見えてくる。

 月は太陽に、太陽は月に……その伝説を知っていた日高は、彩子のような人を求めていたのかも知れない。自分が蒔いた餌にちゃんと食いつく鋭さはありながらも、その魂と身体を入れ替えることができる隙があるような人を。そんな想像が捗るのも、オリジナル脚本ドラマの醍醐味だ。

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