亀梨和也が冒頭からわずか数分で見せた名演 『レッドアイズ』伏線の数々も話題に
「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」
かの名台詞から20年以上の時が流れたが、犯罪捜査のハイテク化が進みつつある近年のフィクションにおいて、会議室――臨場しない捜査班の在り方、描かれ方は大きく変化した。『レッドアイズ 監視捜査班』(日本テレビ系)は、最新技術を駆使した“捜査班”の活躍と、現場で繰り広げられる生身のハードアクションが融合した、近未来的作品だ。描かれるサイバー世界と、共感しようのない愉快犯とは対照的に、痛々しいほどリアルな絶望が主人公・伏見響介(亀梨和也)を突き動かす。
ある日突然、婚約者・美保(小野ゆり子)を何者かに殺害され、永遠に奪われた伏見。捜査一課の敏腕刑事が、もっとも守りたい人を守れなかった無念は、どれほどのものだろう。美保の亡骸を見つめて呟いた「結婚しよう」の言葉が、あまりに優しく切ない。伏見にとって美保が、どれほど愛しい人であったのか、その声に、表情に、慟哭に、溢れている。
伏見の眼から光が消えた次の瞬間、タイトルバックに映る血走った眼。そこに宿るのは復讐の炎だ。冒頭からわずか数分で、視聴者を「伏見響介」という男の内側に引きずり込む、亀梨和也の名演を見た。
3年後。警察を離れ、探偵事務所を営む伏見のもとに、元上司・島原由梨(松下奈緒)が訪ねてきた。国内にある500万台にも及ぶ監視カメラのデータをリアルタイムで解析し、事件解決に役立てる組織「神奈川県捜査分析センター=KSBC」の統括責任者に就任した島原。その機動班にあたる“特別捜査官”として、伏見の行動力と鋭い観察眼が欲しいという。同じ服が並ぶラック、水だけが入った冷蔵庫、乱雑に積まれた、美保の事件に関する資料……ただそれだけの部屋に帰り、考える伏見。復讐のためにただ命を繋いでいるだけ、そんな伏見の3年間が垣間見えるシーンだった。