『今際の国のアリス』国内外でヒットの理由 『バトル・ロワイアル』から続くジャンル人気から探る

“デスゲームもの”人気の理由を探る

漫画ジャンルとして、映画ジャンルとしての確立

 『バトル・ロワイアル』は小説だが、その後は主に漫画界でこのジャンルが浸透していく。本作の影響もあって「中高生が主人公、学園を舞台にしたもの」が広く流行。2000年代以降から「いじめ」が社会問題として取り沙汰されたこともあり、日頃の鬱憤をためたクラスメイト同士が殺し合う、騙し合う、そういうストーリーが増えてきたように思える。『人狼ゲーム』や『シグナル100』、『トモダチゲーム』などがそれだ。

『シグナル100』(c)2020「シグナル100」製作委員会

 一方で『カイジ』や『GANTZ』をはじめとする、中高生以外の幅広い年齢層のキャラクターが登場する作品も増えていった。その先で登場した『奴隷区』や『人間カード』などは、デスゲームものでも中高生か大人かで欲望の矛先に違いが生じることを表してくれている。しかし、基本的に本ジャンルは、現実では倫理的にやってはいけないことをやって良しとする、欲望を思う存分さらけ出す人間性を描いたものが多く、人気が高い。リアルの世界ではやってはいけないものほど、創作の場で見たくなるのが人の性。そのため、こぞって映像化されている畑でもある。

『カイジ ファイナルゲーム』(c)福本伸行 講談社/2020映画「カイジ ファイナルゲーム」製作委員会

 映画も、それを原作とした漫画も、同ジャンル内で多種多様な舞台や設定が登場するようになった。ときには島を舞台にしたり、特殊能力を用いるSF的な要素が加わったり、異世界に飛ばされる、または自分のいる空間だけが異世界化したり。

 近年は、従来のネタにスマホやアプリといった最新ガジェットが加わることで新しく進化したものも多い。ソーシャルゲームの要素を取り入れた『ダーウィンズゲーム』、ネット上の個人情報取り扱いを巡る『生贄ゲーム』、YouTubeに近い動画配信サイトをテーマにした『DEAD Tube ~デッドチューブ~』などがそうだ。ただ、様々な変わりネタが出てきたとしても、一貫して「提示された条件にクリアしなければ殺される」という大まかなルールがデスゲームものには存在してきた。

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