青柳翔、劇団EXILEの中心として放つ独特の空気 『今際の国のアリス』『13』で示した演技の幅

青柳翔、劇団EXILEの中心として放つ独特の空気 『今際の国のアリス』『13』で示した演技の幅

 ドラマ、映画、CM、舞台と幅広いステージで活躍を続けている劇団EXILE。本稿では、劇団EXILEのメンバー一人ひとりのフィルモグラフィをたどりながらその魅力を分析。第5回目は、Netflix『今際の国のアリス』出演の青柳翔について紹介していく。(編集部)

 現在、町田啓太とともにNetflixで配信中のドラマ『今際の国のアリス』に出演している青柳翔は、2006年の「VOCAL BATTLE AUDITION」に参加したことがきっかけで、地元北海道のEXPGで演技を学ぶことになり、その後上京。2009年に舞台『あたっくNo.1』で俳優デビューし、同年、劇団EXILE華組のメンバーとなり、今に至る。

 それから2年、2011年のドラマ『ろくでなしBLUES』(日本テレビ系)では主演を務めたり、また劇団EXILE総出演、SABU監督の映画『jam』でも主演するなど、常に劇団EXILEの中心人物として、存在してきた。

 特に『jam』では、場末の演歌歌手、横山田ヒロシを演じた。ヒロシは物語の主人公だが、因果応報をテーマにしているだけに、単なる善良な役ではない。ファンの前ではアイドル演歌歌手の顔を崩さないが、その中には常に焦燥感のようなものが渦巻いていて、いつしか筒井真理子演じる熱狂的ファンの雅子に監禁されてしまう。

 この雅子とヒロシの関係性も非常に曖昧で不思議な空気がある。自分のしていることの重大さに気づいていない盲目的な雅子と、困ったことにまきこまれて戸惑っているというのに、雅子のために歌を作るときにも、どこかふざけた感じもあり、飄々としたおかしさが漂っているヒロシの関係性は、一言では言い表せないものがあった。

HiGH&LOW Special Trailer ♯13 「九十九」

 そんな青柳の独特の空気は、『HiGH&LOW』でも感じられる。特に思い出されるのは、『THE MOVIE 2』で青柳演じる九十九が繰り出す「琥珀さん、俺車ダメだわ」というセリフである。初めて聞いたときには、「『車ダメだわ』ってなんだ?」となるのだが、今聞くと、これ以上に九十九というキャラクターを表している言い回しはないと感じる。聞けば、このセリフは元は「車の運転に向いてないわ」だったものを、青柳がアドリブで改変したものだというのを知って、妙に納得してしまった(参照:AKIRA、青柳翔、小林直己インタビュー『HiGH&LOW THE MOVIE 3』“頑丈めな3人”が語る「全員主役」最終章のアクションとメッセージ | SPICE – エンタメ特化型情報メディア スパイス)。

 その『HiGH&LOW』には、「Maria」という楽曲で歌手としても参加し、1stソロシングル『泣いたロザリオ』もリリースした。プロ歌手としての初舞台は京セラドームで、落ち着いてみえたが緊張感で手が震えていたという。せつなげな楽曲と澄んだ歌声で、繊細な印象を持っていたが、昨今は、正反対のイメージも見えてきた。

 劇団EXILE総出演の『勇者のために鐘は鳴る』では、「魔王」役で登場。威厳のある役かと思いきや、縞々のホットパンツにピンクのランニングでアイドルに扮し「ホットパンツフィーバー」と歌ったり、他のメンバーが殺陣をやっている場面では、高みの見物を決め込み、なぜか「からあげクン」を食べだしたり、突然ディスクジョッキーをはじめ、「こんな勇者は嫌だ」というテーマで大喜利を始めたりと、トボけ、ハジけ倒していた。舞台でのこうした試みは、スベる可能性も高いが、絶妙の面白さを発揮していた。

 近年は、『勇者』以外にも舞台に精力的に取り組んだ。2019年は、同じ北海道出身の戸次重幸が作・演出の『MONSTER MATES』に。また、岡田将生&黒木華らとともに『ハムレット』に出演した。今年は、こまつ座 第133回公演『人間合格』で太宰治を演じた。2年間で、これだけ多彩な舞台に出演するというのは貴重な体験だったのではないだろうか。

Netflixオリジナルシリーズ『今際の国のアリス』

 『勇者のために鐘は鳴る』の頃から、少し体重を増やして、以前の繊細な雰囲気から、どっしりとした感じが見えるようになっていたが(『勇者』のときに坊主なのを知って驚いたものだ)、これは現在、配信の始まった『今際の国のアリス』の役作りのためもあったのだろう。

 この『今際の国のアリス』では、坊主頭に黒のタンクトップ姿で“アグニ”役を熱演。屈強な役に最初は自分に合うのかなと思ったというが、迫力ある姿と、その奥にある秘めたるものを感じさせる役になっていた。また下村勇二アクション監督によるアクションシーンも迫力満点で、『HiGH&LOW』の九十九役のときとはまた違ったアクションを見せた。

 今年出演のドラマ『13』(東海テレビ・フジテレビ系)でも、以前とは少し違う役ができるようになったのではないかと思えた。青柳はこの作品では刑事の永井敏彦を演じたが、以前であれば、もっと繊細な刑事になっていたのではないか。この永井を見ていると、香港映画に出てくる刑事のようだと思った。韓国映画ではないのがポイントである。

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