上野樹里の芝居を超えた言葉に涙 『監察医 朝顔』が伝えた“生きることの尊さ”

『監察医 朝顔』が描く“生きることの尊さ”

 上野樹里が主演を務める『監察医 朝顔』シーズン2(フジテレビ系)が、12月28日に第9話を迎えた。

 年末の2時間スペシャルとなった今回、スポットライトが当たるのは法医学教室の新たな仲間として登場した“ウッシー”こと牛島翔真(望月歩)だ。彼は実家が総合病院を経営しているという生粋のお坊ちゃまで、牛島の前任だった熊田(田川隼嗣)の代わりに見つかった法医学教室にとって待ちに待った存在。第8話では新人らしからぬ飄々とした態度が目立っていた。

 そんな牛島が大事件を巻き起こす。それは女子大生殺しの犯人と噂されている男性の解剖中の遺体写真を、SNSに流出させてしまうのだ。たちまちネットでは写真が拡散され、テレビでも報道される事態に。しかし、牛島はそれを悪気があってやったわけではなかった。

 遺体の解剖中「こんな残酷な目に遭わされて犯人が憎いです」と被害者を思い、鼻をすすって泣いていた感受性の強い牛島。被害者のプライバシーはネットでどんどんと晒され、一方の犯人は顔も名前も伏せられたまま。そんな理不尽な構図に、牛島は良かれと“みんなが知りたかったこと”を広めたのだった。

 しかし、結果的に牛島が犯人と勝手に思い込みネットに晒した男性は加害者ではなかった。一時的な感情が招いた取り返しのない過ち。通常なら罵倒され、見放されるような行為に、朝顔(上野樹里)は彼を見捨てずに、ゆっくりと諭していく。冷静に、時に感情を剥き出しにして牛島に法医学者とは何なのかを、自身の思いを持って投げかけていくシーンは、およそ10分間の長ゼリフ。シーズン1で反響を呼んだ朝顔の講義での場面を彷彿とさせる。

「今、死ぬことを踏みとどまって、頑張って生きてる人の姿、ご遺族の姿、想像できた? 思いやれた?」
「死と向き合うからこそ生きることの尊さを深く知っていなければいけないと思う」
「遺体の尊厳も、遺族のプライバシーも、法医としての秩序も、いとも簡単に奪ってしまった」

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