『七人の秘書』シム・ウンギョンの強烈な存在感 現代社会を彷彿とさせる展開に

『七人の秘書』シム・ウンギョンの存在感

 しかし、粟田口のような人間が萬にしろサランにしろ、およそ自分とは正反対なところにいる正義感の強い人物を側に置きたがるのはなぜなのだろう。自分とぶつかることは必至で、必ずどこかで邪魔な存在になるのは目に見えているのに……。1つに、自身が常に裏の裏を嗅いでばかりいて悪知恵が働くタイプだからこそ、真っ直ぐなタイプの方が近くに置くには信頼できて安心できるというのがあるのだろう。加えてサランには、自身の計画を尽く阻止する“影の秘書軍団”や萬の動きを探るために近づいたとも考えられるが、7年前の若かりし頃の萬についてはどうだろう。やはり、清廉潔白で守りたいものがある者、利己的よりも利他的な人間の方が、それを逆手にとって利用しやすい、「守るべきもの=弱点、弱み」になり得るからこそ、行動が読みやすく制御もしやすいからなのだろうか。

 でも、そんなバカ正直な者たちだからこそ、どんなに「粟田口には近づくな」と止められても、勝ち目が全くない状態であっても「萬さんには恩があるから」とそれだけの理由で皆で立ち上がれるのだ。次週最終話では、7人の秘書たちがラスボスの粟田口とどう戦い、決着をつけるのか。一見バラバラに見えて、結束するときの団結力は抜群で義理堅い彼女らの勇姿を見届けたい。

 同じく粟田口の運転手として近くに潜り込み折りを見計らっている千代の兄・一男(マキタスポーツ)の狙いも気になるところだ。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『七人の秘書』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00~21:54放送
出演:木村文乃、広瀬アリス、菜々緒、シム・ウンギョン、大島優子、室井滋、江口洋介
ゲスト:萬田久子、大和田伸也、木下ほうか、小林隆、杉田かおる、藤本隆宏、とよた真帆、橋爪功、マキタスポーツ、リリー・フランキー、松本若菜、永瀬莉子
脚本:中園ミホ、香坂隆史、林誠人
演出:田村直己(テレビ朝日)ほか
音楽:沢田完
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:大江達樹(テレビ朝日)、 浜田壮瑛(テレビ朝日)、大垣一穂(ザ・ワークス)、角田正子(ザ・ワークス)
制作協力:ザ・ワークス
制作著作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日

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