大島優子、役柄に奥行きを持たせる演技力 『七人の秘書』ついに財務大臣も動き出す展開に

大島優子、『七人の秘書』で見せる奥深さ

 黒子である秘書の暗躍を描いたお仕事ドラマ『七人の秘書』(テレビ朝日系)は、元も現役も含め、7名の経済界や政界トップの秘書が連携し、各所に蔓延る悪に立ち向かう。

 第5話では、東京都知事・南勝子(萬田久子)が演説する隣で、手話通訳をする秘書・風間三和(大島優子)にスポットが当たる回となった。老朽化した児童養護施設を新設するという公約を突然撤回した都知事の鶴の一声で、居場所を奪われた子どもの存在を知って憤る千代(木村文乃)と三和との対立も描かれた。「政治の世界ではそんなのよくあることでしょ?」と冷めた三和だったが、自分が幼少期に嫌悪していた“富める者”“強者”側におり、“持たざる者”“弱者”を犠牲にしていることに気がつき、白紙になった新設案を浮上させることを決意。都知事のイメージダウンになるようなスキャンダル動画の流出を企てる。

 大島優子と言えば、言わずと知れた国民的女性アイドルグループAKB48の元メンバーで、トップアイドル出身。卒業後は女優に転身したが、実は彼女の女優キャリアは7歳の子役時代から始まっており役者歴も長い。

 本作で演じる三和は、他の秘書たちと違って大手ホテルグループのオーナー令嬢と裕福な家庭に生まれるも、家族との間に確執を抱えており他人にも自分にも無頓着で諦めまじりな役どころだ。

 朝ドラ『スカーレット』(NHK総合)で演じたヒロイン・喜美子(戸田恵梨香)の幼なじみ役の照子も、わがまま放題に育ったお嬢様で、本当は心優しいのだが素直になれないという憎めない役どころだった。

 主要キャラクターを務めた『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)では、居酒屋「呑べえ」の看板娘・小雪を演じた。一見したところサバサバ女子だが、実際に恋愛すると“物分かりの良い女”を演じてしまい勝手に行き詰まってしまうような一面を持ち合わせていた。

 大島優子が得意とするのは、一見したところはどっしり構えていて強そうな自立した女性ながら、実際には誰にも見せられない弱みを抱えており、人知れず“満たされなさ”を持て余している役どころだ。骨太な印象の中に、一番柔らかい場所をえぐられたことのある人間特有のずっと押し殺し続けている痛みと諦めを時折覗かせる。周囲からの見え方などどこ吹く風でどこにも所属せずに独立ポジションで達観しており、一見したところ世渡り上手そうだが、実際には“生きづらさ”“寂しさ”を抱えていそうなキャラクターが多い。そんな中でも明るく気丈に淡々と振る舞おうとする際に、大島自身が元来持ち合わせている向日葵のような明るさや、その裏で人知れず自分自身と対峙し続けている姿が重なり、より役どころに奥行きを持たせることができるのだろう。

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