『映画プリキュア』はコロナ禍でどう変わった? 公開サイクルの変化が意味するもの

『映画プリキュア』コロナ禍でどう変化?

嬉しいサプライズだった「キュアアース」の登場

 もうひとつ、公開時期の延期に伴って行われた変更がある。それはTVシリーズ最新作『ヒーリングっど プリキュア』で8月以降に登場した新しいプリキュア「キュアアース」に関することだ。

 当然、『ミラクルリープ』本編にこのキャラクターは登場しない。しかし本作にはいつもの「ミラクルライト」のレクチャーがカットされている代わりに、コロナへの感染対策を促す映像が冒頭にあり、ここでキュアアースが登場。『ヒーリングっど プリキュア』の主人公、キュアグレースと一緒に注意喚起を行っている。

 プリキュアを視聴している子どもの中にはこのキュアアースがお気に入りの子も必ずいるはずで、そういったファンにとっては非常に嬉しい演出だったのではないだろうか。

 映画館でもプリキュアに会える。そう思ってきたのに、いちばん好きなプリキュアが影も形もなかったらきっとガッカリするだろう。こういったところで子どもたちのことを第一に考えてくれているのが、『プリキュア』シリーズが17年にわたって根強い人気を保っている、最も大きな理由ではないだろうか。

変化していく環境に対して一歩踏み出す勇気を与えてくれる作品

 すでに情報解禁されているとおり、次回の『映画プリキュア』は『映画ヒーリングっど プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』のタイトルで、2021年3月20日に全国公開される。

 先輩プリキュアである『Yes!プリキュア5GoGo!』も登場する本作は『ミラクルリープ』とは逆に、春に公開となる“秋映画”……というか、こういったカテゴライズで作風を分けて考えるのは今後難しくなっていくのかもしれない。コロナ禍は本当に様々なものを大きく変えてしまった。

 次回作以降「ミラクルライト」の扱いがどうなっていくかも気になるところだ。今回は未曾有の感染症に対して安全が最優先ということで上映中のライトの使用そのものができなくなっていたが、今後は声を出さないのであればライトを振るのは問題ない、となるかもしれない。

 逆に「ミラクルライト」の配布が今後行われない可能性もゼロではない。未来のことを考えるとファンとして不安も大きいが、『ミラクルリープ』はまさに、変化していく環境に対して一歩踏み出す勇気を与えてくれる作品だった。

 多くの映画作品以上に、コロナ禍による影響を大きく受けた『ミラクルリープ』。しかしこんな状況だからこそ、いっそう尊ぶべきテーマが作中では描かれていた。その内容については本稿の趣旨から逸れるので多くは語らないが、昨今の情勢を憂いている人こそ、いまからでも映画館で本作を鑑賞してみてはいかがだろう。

※『ヒーリングっど プリキュア』の半角スペースはハートマークが正式表記。

■小林白菜
ゲームやアニメーション、漫画などを中心に、作品の魅力について紹介する記事を複数のメディアに寄稿。アニメーションでは『プリキュア』シリーズや『アイカツ!』シリーズなど、女児向けの作品を特に好んでいる。noteTwitter

■公開情報
『映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』
全国公開中
声の出演:悠木碧、依田菜津、河野ひより、加隈亜衣、武田華、金田アキ、白石晴香、成瀬瑛美、小原好美、安野希世乃、小松未可子、上坂すみれ、木野日菜、吉野裕行、引坂理絵、本泉莉奈、小倉唯、田村奈央、田村ゆかり、多田このみ、野田順子、福島潤
ゲスト声優:平田広明、稲垣来泉
原作:東堂いづみ
監督:深澤敏則
脚本:村山功
音楽:寺田志保
キャラクターデザイン・作画監督:板岡錦
美術監督:渡辺佳人
CGディレクター:大曽根悠介
色彩設計:佐久間ヨシ子
撮影監督:髙橋賢司 
製作担当:堀越圭文
配給:東映
(c)2020 映画プリキュアミラクルリープ製作委員会
公式サイト:spring.precure-movie.com

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