“動き”にこだわったアニメがトレンドに? 『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『ヒロアカ』などから探る

 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の勢いが、止まらない。公開24日間で興行収入は約204億円、観客動員数は1,537万人にまで到達した。なんと、現時点で歴代興収5位にランクインしている。TVアニメの続きを描くという、一見さんにはなかなか参加しづらい作品にもかかわらず、驚異的な大ヒットぶりだ。

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 ただ、考えてみればTVアニメの時点で『鬼滅の刃』は大いにバズっており、ファンが順調に増えた結果、社会現象化し、多くの人々が『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開を「待っていた」感覚のほうが強い。彼らが一斉に劇場に押し寄せてさらなる話題となり、前代未聞の上映回数のニュースや、TV放送などでイベント感も強まり、ネットやTVなどで露出が増え、新規ファンの呼び水となった部分もあるだろう。

 となるとむしろ、なぜTVアニメ『鬼滅の刃』がここまで跳ねたのかを考えてみた方がスムーズかもしれない。第一に原作の人気があり(2019年4月のアニメ放送スタート時には、累計発行部数350万部)、クオリティに定評のあるアニメーションスタジオ「ufotable」がアニメーション制作に入ったことで映像的なポテンシャルが大幅に強化され、人気がさらに白熱。2019年9月のアニメ終了時には、原作の発行部数も1,200万部に増加した。

 ちなみに、アニメ終了時のタイミングは、ちょうど『週刊少年ジャンプ』本誌で最終決戦の真っただ中であり、毎週怒涛の展開が続いていた。「本誌派のファン」「単行本派のファン」「アニメ派のファン」三者の“熱”が同時期に高まったことでコンテンツ力が跳ね上がり、今日まで支持を伸ばしてきたように感じる。

 また、『鬼滅の刃』は子どもから大人まで視聴者層が幅広いが、深夜帯での放送のためリアルタイムでは観られなかった人々が、動画配信サービスなどで観てハマったというような動きもあるだろう(コロナ禍の外出自粛期間に観始めた人も多いという)。様々な状況が複合的に組み合わさり、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の歴史的ヒットにつながったというわけだ。

アニメ『鬼滅の刃』(c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 先ほど、『鬼滅の刃』はアニメ化されたことで映像的な見せ場が強化されたと書いたが、流麗なアクションシーンは、本作の大きな売り。そしてまた、「“動き”にこだわったアニメ作品」自体、一つのトレンドであり、現在の人気アニメに共通する重要な要素のように感じる。今回はこの「動きの魅せ方」という観点で、いくつかの作品を横断してみていこう。

 宮崎駿、押井守、細田守、湯浅政明、新海誠といったクリエイターに注視する見方はもちろん、国内におけるTVアニメのひとつの楽しみ方として「スタジオで観る」があるが、スタジオを意識する文化自体、ある程度の年代から下の日本人には自然と身についているものかもしれない。例えばスタジオジブリやピクサーはその代表例と言えるだろうし、『新世紀エヴァンゲリオン』等の作家性あふれる革新的な作品、TVアニメへのイメージを変えた「ノイタミナ」の作品群、劇団イヌカレーによる「異空間設計」が衝撃を与えた『魔法少女まどか☆マギカ』等々……多くのアニメ作品が、視聴者の目を肥えさせてきた。

 また、インターネットやSNSの発達によって「通な見方」が玄人ファンからビギナーへと共有されていったことも大きいだろう。いまや、視聴者によるアニメの感想において「作画」や「アニオリ(原作に対するアニメオリジナルのシーンや演出)」という言葉が飛び交う時代になった。

 ざっくりした説明で恐縮だが、「ストーリー」だけではなく、魅せ方(演出や作画など)にも目を配る土壌が、我々視聴者の中にも知らず知らずのうちに耕されているということ。その延長線上に、いまの「動きの魅せ方」に注目する流れができているのかもしれない。

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