『呪術廻戦』は『鬼滅の刃』に続くヒット作になるか? TVアニメに仕掛けられた工夫から紐解く

 アニメや映画が好きだと「何か面白い作品はありませんか?」と尋ねられた経験がある方も多いだろう。特にほぼ初対面で、どのような作品を好むかのかも知らない人の場合、返答に困ってしまうことも多い。そんな時のために無難な回答を用意することも多いのだが、筆者は今期のテレビアニメであれば『呪術廻戦』の名前を挙げるようにしている。おそらく、今期の中でも最も注目度が高く、そして多くの人に受け入れられるであろう今作の魅力について迫っていきたい。

 『呪術廻戦』は、2018年から『週刊少年ジャンプ』(集英社刊)にて連載を開始した芥見下々の漫画作品だ。テレビアニメは2020年10月より放送を開始し、高い注目度を集めている。人々に害を成す呪霊の起こす騒動にひょんなことから巻き込まれてしまい、特級呪物と呼ばれる「両面宿儺の指」を飲み込んでしまった主人公、虎杖悠仁。呪霊と対抗するために東京都立呪術高等専門学校に入学して、人々を守る術を学んでいく、というのが大まかなあらすじだ。

 本作の魅力はなんと言っても圧巻の戦闘描写だろう。1話から各々のキャラクターが躍動的に動き回り、さらに背景が動画になって動き回るなどの観ていて気持ちの良い場面が続く。また今作では敵となる呪霊のおぞましさもさることながら、その絵の質感も鳥獣戯画などの絵巻物に寄せることで、より禍々しさを増している。これは同じジャンプ作品である『鬼滅の刃』でも見られた演出だが、味方サイドと敵の質感を変えることでより魅力的な戦闘シーンを演出することができている。

 今作の制作を務めたMAPPAは近年でも『ユーリ!!! on ICE』や『ゾンビランドサガ』なども手がけてきたが、今作も力をそれらの作品と同じように高い技術力をもって、大きな話題を獲得しようという思いが見えてくるような出来に仕上がっている。ジャンプ作品の知名度もさることながら、このアニメのクオリティの高さにおいて、さらに知名度が伸びて新たなるムーブメントを起こすのではないだろうか。

TVアニメ『呪術廻戦』ノンクレジットOPムービー/OPテーマ:Eve「廻廻奇譚」

 その力の入れ方はOPやEDからも見て取れる。OPとEDは毎週流すことの多いポイントであるのと同時に、作品の入り口、出口としても重要なものだ。ポケットモンスターのネット配信アニメ『薄明の翼』の監督も務めた、若き天才クリエイターとしても注目を集める山下清悟が中心となったOPは、毎週観ても飽きないほどに動き回り、音楽とマッチしている。またEDも絵の具を乱暴に塗ったようなルックのキャラクターたちがそれぞれの個性に合わせたダンスを披露する姿などが話題を集めている。劇伴を含めて、全般的にお洒落な作品としても印象に残るだろう。

TVアニメ『呪術廻戦』ノンクレジットEDムービー/EDテーマ:ALI「LOST IN PARADISE feat. AKLO」

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