竹内涼真がより気になる存在に? 『竹内涼真の撮休』にみる、『撮休』シリーズのマジック

『竹内涼真の撮休』にみるシリーズのマジック

 本作の「前作」と呼んでいいのだろう。WOWOWが2020年3月〜5月に放送した『有村架純の撮休』のレビュー(参考:有村架純以外では成り立たない絶妙な企画 『有村架純の撮休』は二つの点で異色の作品に)を書いた時、自分は同作を「2020年の日本において有村架純以外にはできない絶妙な好企画」と評した。その好評を受けてということか、あるいは新型コロナウイルスの感染拡大以降、人気俳優の「撮休」も当たり前のこととなって、その意味が変わってしまったからなのか(多分それは関係ない)、今回の『竹内涼真の撮休』で早くもその時のレビューは覆されてしまったわけだ。これは、実際に見て確認しなくてはいけない。早速、第1話の「薫るスパイスカレー」の回を一足早く見させてもらった。

 冒頭のお約束シーン、プロデューサーが担当マネージャーに突然翌日が撮休になったことを告げるやり取りから、『有村架純の撮休』とまったく同じ(頼りないプロデューサーを黒田大輔が演じているのも同じ)作りとなっている『竹内涼真の撮休』。全8回という構成も前作を踏襲したものだが、演出陣は廣木隆一、内田英治、松本花奈の3人とも『有村架純の撮休』から一新された顔ぶれなので、当然のようにテイストは異なる作品となるだろう(『有村架純の撮休』は演出家や脚本家によって有村架純のキャラクターだけでなく、作品のテイスト自体が大きく変わっていた)。注目すべきは、第3話と最終回の第8話を手がけている松本花奈、そして今回取り上げる第1話の脚本を手がけている首藤凜と、20代の女性の演出家や脚本家が起用されていることだ。ちなみに、首藤、松本はともに、2019年に山戸結希監督が企画・プロデュースを手掛けたオムニバス映画『21世紀の女の子』にも参加していた。彼女たちが竹内涼真のファンであるかどうかはわからないが、少なくとも「竹内涼真のファン層」の視点というものを理解しやすい場所にいることは想像できる。

 さて、そういう意味では、きっと自分は性別的にも世代的にも「竹内涼真のファン層」の属性からかなり遠い存在ということになるだろう。映画だと『青空エール』や『帝一の國』や『センセイ君主』、テレビドラマだと『過保護のカホコ』(日本テレビ系)や『ブラックペアン』(TBS系)や『テセウスの船』(TBS系)と、気がつけば彼の出演作をこれまでそれなりに見てきてはいるが、自分が竹内涼真「その人」について知っていることは極めて少ない。『青空エール』ではまるで本物のように高校球児の役が様になっていたのに(同作で竹内涼真を初めて認識した自分は、てっきり高校の野球部出身の少年をスカウトしたのかと思ったくらいだ)、本人は東京ヴェルディユースの出身だという意外なエピソードが印象に残っているくらいだ。

 自分の竹内涼真の第一印象は「デカいな」というものだった。特に共演相手の女優が小柄だと、そのデカさは際立つ。念のために所属事務所のプロフィールページを覗いてみたが、185cmとやはりかなりデカい。なんで身体がデカいことがそんなに気になるのかというと、世界の映画界で活躍しているアジア人男性俳優は大体みんな身体がデカいからだ。例えば渡辺謙は184cm、パク・ソジュンは185cm、ソン・ガンホは180cm(ちなみに俳優ではないがポン・ジュノも182cmある)。身体のデカさは、日本の男性俳優、特に若い男性俳優の海外での活躍が限定的なもの(例えばハリウッド映画ではしばしば、日本人のキャラクターなのに日本人の俳優がキャスティングされない)になっている理由の一つで、それを苦々しく思ってきた自分は、若くてデカい日本の俳優を見るとつい期待してしまうのだ。

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