脚本家・野島伸司、なぜアニメ畑へ? 90年代に風靡した脚本家が抱える齟齬

 『高校教師』(TBS系)、『家なき子』(日本テレビ系)など1990年代のTVドラマ界で一線を担っていた野島伸司。そんな野島の次作が、初のアニメ作品『ワンダーエッグ・プライオリティ』となることが先日発表された。

 物語はオリジナルで、映画『空の青さを知る人よ』、TVアニメ『約束のネバーランド』などのCloverWorksが制作を手掛ける。

 90年代からドラマを手がけてきた野島が、いま新しい表現の形に挑むのはなぜなのだろうか。アニメ制作決定の発表と同時に出されたコメントには「いつからかドラマにも“コンプライアンス”が侵食して、僕のような物書きは翼をもがれた感覚で、より自由度の高い場所を模索していました」という発言があった。

 これまでずっと野島の作品を観てきたドラマ評論家の成馬零一氏は、現代と野島氏の作品の相性について以下のように述べる。

「野島さん自身が現在、ドラマで作りたいものを自由に作れる状況ではないのかもしれないですね。作家としての野島さんはヒット作を連発した90年代前半がピークで、当時が凄すぎたことを差し引いても、それ以降は自分のポテンシャルを100%発揮できているとは言い難い状況です。近年は、手がける作品は配信モノがほとんどですが、地上波のドラマは企画が通らないのかもしれません。おそらく、世の中が求めている価値観と、本人の書きたいドラマのズレが広がっているのだと思います」

 また、コンプライアンス的に描けないものがなぜアニメだと描けるのかを、次のように解説する。

「何よりスポンサーの問題が大きいのだと思います。プライムタイム枠のドラマだと、車が事故で大破したり、携帯電話が壊れる場面は、スポンサーに配慮した見せ方をしないといけないので、演出で必要な“悪の描写”にだいぶ制約があるのだと思います。あとは、ロケの問題も大きいですよね。東京での大規模ロケは年々、難しくなっており、現実を舞台にしたリアルな青春ドラマを撮ろうとしたら、アニメの方が今は作りやすい。あと、ドラマはどうしてもキャスティング先行になってしまい、俳優の文脈が前提に出てしまいます。もちろんアニメにはアニメの制約があるのですが、一度、実写の制約がないところで書いてみたいという気持ちは、よくわかりますね」

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