『犬夜叉』ファンには好評、『半妖の夜叉姫』にある新たな“萌え” 今の子どもたちを取り込めるか?

『半妖の夜叉姫』にある新たな“萌え”

 高橋留美子原作のアニメ『犬夜叉』のその後を描く『半妖の夜叉姫』(読売テレビ・日本テレビ系)が、10月3日より放送されている。

 『犬夜叉』は、妖怪と人間との間に生まれた半妖・犬夜叉と、神社の娘で戦国時代にタイムスリップした女子中学生・日暮かごめが繰り広げる冒険活劇。『半妖の夜叉』では、殺生丸の双子の娘、とわとせつな、犬夜叉とかごめの娘・もろはの3人がメインキャラとなることが発表されると、『犬夜叉』がハッピーエンドだったにもかかわらず、彼らが親の顔も知らずに育ったという設定や、声優たちが関知していなさそうなことなどを不安視する声が続出していた。

 また、屈指の人気キャラで犬夜叉と異母兄弟の殺生丸に子どもができているということへの衝撃も走った。

 しかも、これは『犬夜叉』続編ではなく、新たな世界を描くもの。高橋留美子はメイン3人のキャラクターデザインを手掛けているのみで、企画や内容を確認・承諾しているものの、「原作」ではない。いったいどんな内容になるのか。

 期待と不安で観た第1話は、『犬夜叉』ファンサービス回と言って良い内容だった。なにせ、夜叉姫たちの起点として『犬夜叉』ラストから半年後の世界が描かれ、夜叉姫たちの親世代の犬夜叉や弥勒、かごめや珊瑚、さらには殺生丸も登場していたのだから。

 犬夜叉とかごめ、犬夜叉と七宝のワチャワチャのやりとりは相変わらず。珊瑚が子どもを背負っているのに、子持ちに見えない可愛らしさであることや、弥勒と珊瑚の双子の娘たちが「かごめ」と下の名前で呼び捨てしていることは、なんだか新鮮だ。

 そして、皆が待ち望んでいた殺生丸は、変わらずフワフワの大きなファーをつけて登場。りんが「殺生丸を慕う少女 りん」と紹介されたり、りんのいる場所をさりげなく殺生丸が守っていたりするところにも、ときめいてしまう(ネット上では、そんな殺生丸が「最強のセコム」として「セコム丸」とも呼ばれていた)。

 また、弥勒役の声優・辻谷耕史が亡くなってしまったことで、保村真が担当していたが、そもそも他のキャラの声優も月日を経て、声が多少変わっていることもあるだけに、意外と違和感がないし、なにしろイケボである。

 とはいえ、第1話はファンサービスとしては満点だったが、正直、『犬夜叉』を観たことのない人にとってはわからないことだらけ。肝心の夜叉姫たちの魅力は未知数だし、新規で新たに子どもたちを視聴者として取り込むという意味では、難しい点も多かったろう。

 それが2話、3話と進むにつれ、少しずつ状況が見えてくる。

 とわとせつなは幼い頃、森の火事に巻き込まれて離れ離れになり、とわが時代樹のトンネルをくぐりぬけて現代である令和にタイムスリップしたこと。戦国時代に残された妹・せつなは、妖怪退治屋のお頭となった琥珀のもとで、妖怪退治を生業にしていたこと。そして10年後、賞金稼ぎをしていたもろはと、せつなが、妖怪とともに現代に現れる。

 現代に突然現れたとわに声をかけてくれたのが、かごめの弟で、すでに家庭を持っている草太だったことには、なんだかほっこりするし、じいちゃんが今も元気であること、かごめの母が若々しく、呑気であることにはビックリさせられる。

 その一方、楓ばあちゃんはもはや妖怪のようだし、戦国時代で出会い頭に戦いを初めてしまう、せつなともろはの親譲りの血の気の多さには、ちょっと笑ってしまう。

 さらに、せつなともろはが現代にタイムスリップした原因となるムカデ妖怪の「三つ目上臈」は、かつてカゴメを戦国時代に引きずり込んで、「四魂の玉」を奪って妖力を増強した百足上臈を思いださせることも、『犬夜叉』ファンにとっては注目ポイントだった。

 そして、彼らをつなぐ「虹色真珠」が、犬夜叉の右目に封印されていた「黒真珠」と関わりがあるだろうことも。

 ちなみに、現代で、とわに絡んでくるコテコテのヤンキーは、令和とは到底思えない『うる星やつら』を意識したキャラデザであることも、高橋留美子ファンにとってはツボだったろう。

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