『ハリー・ポッターと秘密の部屋』は“2回目”が楽しい 振り返ると気づく魅力的なシーンの数々

 今年もまた、ハロウィンの時期がきた。ジブリ特集が夏の訪れを教えてくれたなら、ハリポタは秋の訪れを教えてくれる。三週にわたって『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系)で放送される『ハリー・ポッター』シリーズ。今週の放送はシリーズの中でもっともっと評価されるべき2作目『ハリー・ポッターと秘密の部屋』だ。ハリーたちは再び学校に戻る。しかし、そこはもはや生徒が安心できる場所ではなかった……。

 放送に合わせて今一度本作の魅力を振り返りたい。なお、本記事の内容は『死の秘宝PART2』までのネタバレを含む。もしあなたが先週放送された『賢者の石』で初めて魔法の扉を開けたのであれば、是非そのままハリーたちの旅路を最後まで見届けた上で本記事に戻ってきていただきたい。

今後重要になってくるキーワード・伏線のオンパレード

 『賢者の石』が『ハリー・ポッター』の世界観を紹介する作品だとしたら、『秘密の部屋』は今後の展開で非常に重要になってくるキーワードや伏線を紹介する作品だ。「ああ! こんな時からすでに!」「これが後にああなったんだよなあ!」と、映画を観ながらツッコミまくること必至。

 例えばダドリー家から脱出したハリーたちが向かった、ウィーズリー家。初登場となり、これが『不死鳥の騎士団』以降、ハリーや騎士団のメンバーのセーフスポットになった。

 しかし、『死の秘宝 PART1』でロンの兄・ビルがフラーと細やかな結婚式を挙げた直後、死喰い人の襲撃を受けベラトリックスの手で燃やされてしまう。そのためウィーズリー家の暮らしぶりが垣間見える貴重なシーンは『秘密の部屋』でしか堪能できないのだ。ハリーはそこで未来のお嫁さん・ジニーに初めて「やあ」と声をかけ、彼女の頬を赤く染める。

 彼が彼女に話しかけたのはこれが初めてだが、実は彼らは『賢者の石』のキングズクロス駅ホームですでに出会っていた。柱に突進するのに緊張していたハリーに、幼いジニーは「頑張って」と応援したのだ。未来のお嫁さんからの最初の言葉が「頑張って」って胸熱すぎない?

 その後買い出しに向かう際、ハリーはダイアゴン横丁に迷い込んでしまう。ここで怖い魔女やおじさんに囲まれ、どこかに連れて行かれそうになるシーンがさらっと描かれているが、今思うとこの時点ですでにハリーをヴォルデモートに差し出そうとしていた死喰い人が人だかりの中に紛れていてもおかしくない。

 本屋ではルシウス・マルフォイが、ジニーのバケツにトム・リドルの日記を忍ばせる。これが最初に壊されることになる分霊箱なのだが、このシーン、毎回観るたびにガッツリそれを目撃し眉を潜めてさえいるハリーに「その場で指摘しなよ!」とツッコミたい気持ちを抑えなければならない。余談ではあるが、この背景でなんとハーマイオニーの両親がロンの父・アーサーと歓談している様子が一瞬だけ映る。彼女の両親が再登場するのは、『死の秘宝PART1』。そう、ハーマイオニーが自分にまつわる記憶を全て彼らの中から消す悲しいシーンだ……。

 ホグワーツに到着後ももちろん、今後の作品に出てくる重要なものがテンポよく登場する。『アズカバンの囚人』に繋がる、館の入り口になっていた暴れ柳(生えている位置から考えて別固体ではあるが)が出てきたり、ハグリッドがアズカバンに連れて行かれたり。その後の作品を連想させるかのように、マクゴナガル先生の授業では動物をゴブレットに変える呪文を練習するし、空飛ぶ車が一面を飾った日刊予言者新聞の記者も『炎のゴブレット』に登場する。

 そして決戦の地である秘密の部屋は、後に『死の秘宝 PART2』でロンとハーマイオニーが再びやってくることを考えると、それだけでニヤニヤしてしまう。ジニーが未来の旦那に命を救われた場所で数年後、兄・ロンは未来の妻に初めてキスをしたわけだ。

 決戦といえば、ここで大活躍する不死鳥(フェニックス)はハリー自身のメタファーだったのではないだろうか。フォークスという名前も、どこかホークロックス(分霊箱)に少しサウンドが近い気がする。何より、「死ぬ時は炎となって燃え、一度灰になるとその中から蘇る」のがまさにその後のハリーの運命を想起させるのだ。しかも、全てが終わったあとダンブルドアはパーセルマウスのハリーに「君に傷を負わせた夜に力の一部を移したのだ。意図せずにな」と語っていた。ハリーが分霊箱の一つだという伏線は、この時からすでにあったわけだ。

 それに、フォークスが持ってきたグリフィンドールの剣も重要アイテム。この『秘密の部屋』でネビル・ロングボトムは授業中にピクシーのせいで散々な目に遭う。その前はマンドレイクの悲鳴で気絶してしまうし、「なんでいつも僕なんだ……」と愚痴る彼。しかし、そんな彼がまさか、真のグリフィンドール生のみが出すことができるあの剣を持って、全てを終わらせることになるとはこの時、彼自身夢にも思っていないだろう。目頭が熱い……。

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