北村有起哉、『エール』に登場! 窪田正孝と初めての“仲のいい役”に期待大

北村有起哉、『エール』登場の期待

 『エール』(NHK総合)第90話では、池田二郎(北村有起哉)が登場する。劇作家で作詞家の池田は、のちにラジオドラマの仕事を裕一(窪田正孝)に依頼するといった役どころだ。

 北村の朝ドラ出演は『わろてんか』(NHK総合)以来。『わろてんか』では、落語家の月の井団真として、弟弟子・団吾(波岡一喜)の粋な計らいに見事な芸で返してみせた。中村ゆり演じるお夕への思いを乗せた渾身の「崇徳院」は、のちの語り草になった。

 池田二郎のモデルは、劇作家で作詞家の菊田一夫。ラジオや映像、舞台、特に日本のミュージカルの発展に大きく貢献し、菊田一夫演劇賞にその名を留めている。ラジオドラマで映画や舞台になった『君の名は』や森光子が主演を務めた『放浪記』は有名だ。菊田に音楽を提供したのが『エール』のモデルである古関裕而。2人の関係を菊田は「以心伝心」と表現し、古関が菊田を「最大の理解者」と語るなど、古関と菊田のコンビは多くの作品を世に送り出した。

 連続ドラマでの北村と窪田の共演は『刑事のまなざし』(TBS系)、『アンナチュラル』(TBS系)に続いて3作目。舞台では『唐版 風の又三郎』がある。主役を張れて脇役もこなせる役者2人の共演は印象的な場面を生んできた。『刑事のまなざし』に、窪田は最終話・前後編の犯人・山之内信吾役で登場。北村は捜査一課の刑事・長峰を演じた。10年前に起きた通り魔事件の真相を追う長峰が山之内につかみかかるシーンは、短い時間ながらも緊迫感にあふれていた。

 『アンナチュラル』では、窪田はUDIラボのアルバイト・六郎、北村はフリー記者の宍戸役で出演。同作では、マスメディアによって作られた物語や報道のあり方に疑問が投げかけられており、不自然死の究明と並ぶもう一つの軸になっている。宍戸の書く記事は、末次(池田鉄洋)が「白々しいポエム」と評するように、被害者性を過度に強調することで読者の関心を引くものだった。

 宍戸は中堂(井浦新)の追う「赤い金魚」事件の犯人を匂わせながら、裏では真犯人に接触し、連続殺人の完結を見届ける。マスメディアの露悪的な面を凝縮した宍戸は、究極の傍観者であり、ある意味で真実からもっとも遠い存在と言える。一方、生まれ育った環境と自身のしたいことの間で揺れる六郎は、報酬と引き換えにUDIラボの内部情報を「週刊ジャーナル」にリークする。宍戸も、六郎に情報提供をする代わりに自身への協力を持ちかける。

 六郎と宍戸には共通するペルソナがあり、メディアの暗部に触れた六郎が、将来、宍戸のようになる可能性もあった。しかし、六郎は、最終的にミコト(石原さとみ)たちの前で自身の過ちを認める。善悪の向こうに生と死を見る同作で、生々しい葛藤と複雑な人物造形を体現した2人は陰の立役者だった。

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